2008年11月16日日曜日

会社物語|MEMORIES OF YOU


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv17858/
  • 1988年/日本/99分
  • 監督:市川準
  • プロデューサー:中沢敏明
  • 脚本:鈴木聡、市川準
  • 撮影:小野進
  • キャスト:ハナ肇(花岡始)、西山由美(由美)、植木等(上木原等)、谷啓(谷山啓)、犬塚弘(犬山弘)、安田伸(安井伸)、桜井センリ(桜田千里)、石橋エータロー (石橋二郎)、イッセー尾形(セールスマン)、伊東四朗(小林常務)
  • 1988年ブルーリボン賞主演男優賞(ハナ肇)

2008年11月8日土曜日

ハンサム★スーツ


期待通り。気楽に笑えたし心に残るところもあったし。ストーリーも演出も演技も、陳腐すぎたり高尚すぎていたら、軽く笑いたいという目的に合わなくなってしまうのだが、これがピッタリ。谷原章介の演技の幅は、あらためてだけどスゴい。ただものじゃない。塚地も『間宮兄弟』でも思ったが、いい味だしているし好かれるキャラ。音楽も80~90年代のヒット曲が随所に使われていて。


  • 監督:英勉
  • 脚本:鈴木おさむ
  • 出演:谷原章介、塚地武雅、北川景子、佐田真由美、大島美幸(森三中)、池内博之、本上まなみ、佐々木希、ブラザートム、温水洋一、中条きよし、伊武雅刀
  • テーマソング:渡辺美里「My Revolution」
  • オフィシャルサイト http://www.handsome-suits.com/
  • 2008年/日本/

2008年11月2日日曜日

Orz ボーイズ!|Orz Boyz!

 

  • 原題:囧男孩 英題:Orz Boyz!
  • 2008年/台湾/104分
  • 監督・脚本:楊雅竽(ヤン・ヤーチェ)
  • 出演:李冠毅 リー・グァンイー (騙子一號:うそつき1号)、潘親御 パン・チンユー (騙子二號:うそつき2号)、梅芳(メイ・ファン)、馬志翔(マ・ジーシャン)、徐啟文(シュウ・チーウェン)
  • The 9th NHK ASIAN FILM FESTIVAL 第9回 NHK アジア・フィルム・フェスティバル

2008年11月1日土曜日

東京兄妹


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv27749/
  • 1995年/日本/92分
  • 監督:市川準
  • 助監督:吉川威史
  • キャスト(役名):緒形直人 オガタナオト(日暮健一)、粟田麗 アワタウララ(日暮洋子)、手塚とおる テヅカトオル(三村真)、白川和子 シラカワカズコ(近所のおばさん)、広岡由里子 ヒロオカユリコ(林桂子)

2008年10月26日日曜日

エドワード・ヤンの恋愛時代|獨立時代|A Confucian Confusion


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv16757/
  • 原題:獨立時代、 英語題:A Confucian Confusion
  • 1994年/台湾/127分
  • 監督・脚本:楊徳昌(エドワード・ヤン)
  • 出演:
  • チチ(蒞蒞):陳湘蒞(チェン・シャンチー)
  • モーリー:倪淑君(ニー・シューチン)
  • ミン(明):王維明(ワン・ウェイミン)
  • アキン(阿欽):王柏森(ワン・ポーセン)
  • フォン(小鳳):李芹(リチー・リー)

2008年10月20日月曜日

陽もまた昇る|太陽照常升起


見始めてしばらく経ったところで、気がふれた映画かと思って、やれやれと思っていたけど・・・何とも凄い芸術的な映画。ただのアートではなく見事に最後に収束させる計算もされていた。こんな映画、こんな監督とは思ってなかったので、嬉しい発見。パワーと刺激ありすぎ。最近、落ち着いたものに好みが傾いていたけれど、もっと刺激になるものも見よう。

  • 2007年/中国,香港/116分
  • 監督: 姜文(チャン・ウェン)
  • 出演:姜文、陳沖(ジョアン・チェン)、周韻(ジョウ・ユン)、房祖名、黄秋生(アンソニー・ウォン)、孔維(コン・ウエイ/孔鐿珊)
  • 撮影:李屏寶(マーク・リー・ピンビン)ほか
  • あらすじはコチラ
  • 音楽:久石譲
  • 参考:スタッフブログ
  • 原作:「天鵝絨」葉彌著
  • 公式サイト:http://thesunalsorises.emp.hk/
  • 第21回 東京国際映画祭 アジアの風 部門

buy a suit(スーツを買う)


撮影は、市川監督と助監督がHDVカメラを使ったという。キャストは監督の気心が知れた俳優素人。キャストが入った撮影は2日間。まさに市川監督のプライベートフィルム。『東京夜曲』『東京兄弟』など、東京の風景をたくさん撮ってきた人らしく、最後も東京の今を、ドキュメンタリーっぽくきれいに撮っていた。すーっと染み込んで来るような、まさに遺言のようだった。

映画館に入るときに手紙サイズのリーフレットをもらった。
自宅に遺されていたメモをそのまま使ったもの。監督から手紙のような、穏やかだがしっかりとしたメッセージだ。


ご冥福をお祈りします。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37950/
  • 2008年/日本/47分
  • 監督、脚本:市川 準 助監督:末永智也
  • 出演:砂原由起子、鯖吉、山崎隆明 三枝桃子 松村寿美子 佐藤慎一
  • 第21回 東京国際映画祭 日本映画・ある視点 公式出品


2008年10月1日水曜日

Bass on Titles|Why Man Creaters


グラフィックデザイナーなら、誰でも知っていて欲しいソール・バス氏。すでに、数多くの日本企業のロゴのデザインで、ミノルタ、紀文、旧味の素、ミナミスポーツなどをやっていたことは知っていた。しかし、一方で映画のタイトルバックをたくさんやっていてそれが凄いらしいということは昔から聞いていたのだが、なかなか見られないままになっていた。それをまとめた作品集『Bass on Titles』とドキュメンタリー『Why Man Creaters』が一緒にDVDで出たので、さっそく購入。

たのしい!

映画本編じゃなくこれだけ観ていて、すごいたのしい。しかし、日本映画で優れたタイトルバックがなかなかないのは寂しい限り。劇場で映画を見に行っても、本編前の宣伝用予告編から、いつのまにか映画本編に入ってしまっていた、という寂しい入り方が結構あって。

あと残念なのは、ヒッチコック作品の『サイコ』『めまい』『北北西に進路をとれ』が入っていないこと。これは別で見るしかない。

  • 「ソール・バスの映画タイトル集」 1977年 32分
  • 収録作品:
    「ウエスト・サイド物語」(61)、「グラン・プリ」(66)、「黄金の腕」(55)、「セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進」(66)、「危険な道」(65)、「おかしなおかしなおかしな世界」(63)、 「大いなる西部」(58)、「勝利者」(63)、「暗殺5時12分」(63)、「荒野を歩け」(61)
  • 「なぜ人間は創造するのか」 1968年 29分
  • 1968年度アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞

2008年9月24日水曜日

麦秋



  • 1951年/日本/125分
  • 監督:小津安二郎
  • キャスト:原節子 ハラセツコ(間宮紀子)、笠智衆 リュウチシュウ(間宮康一)、三宅邦子 ミヤケクニコ(史子)、菅井一郎 スガイイチロウ(周吉)、東山千栄子 ヒガシヤマチエコ(しげ)、淡島千景、杉村春子

2008年9月20日土曜日

午後3時の初恋|沈睡的青春|Keeping Watch

 

得した気分。というのも、映画の題名がどうも好きじゃなかったので、行かないことにしていたが、「見といたほうがよいよ」という薦めがあったので見に行ったら、おおーー!だったから。

まず、主人公を演じる張孝全。『花蓮の夏』で見たときは、悪くないかなくらいだったが、今回の一人二役の演技で見直した。映画初出演だという新人の郭碧[女亭]も、不思議な存在感があり、今後期待できるかもと思う。九份近くの山間を舞台にしていて、その緑や滝、鉄道も素朴で懐かしくさせられるよい舞台(そんなに遠くない将来に行くだろう。たぶん。)。後でパンフレットを読むと、監督の意図としては、主人公の記憶が過去のある時点で止まってしまったこと過去の出来事が現在に大きく影響していることを考慮して、過去という時代にあった雰囲気を作るためだとか。単に観光目的とは違うっぽので好感度アップ。などなど、たくさんの拾い物をして得した気分。

それにしても、当初見る気にさせなかった元凶の邦題は問題だと思う。浅い感じしかしない邦題なのに、中身はとても深いし、たぶん?ハッピーエンドじゃなさそうな気がする?し単純じゃない。そのへん私には好みだったが、商業的にはそれじゃだめだという判断で、ちょっと偽ったのかな。


晴れた家 ※トニー滝谷・メイキング


お悔やみ 市川準監督

昨日、市川準監督が亡くなってしまった。
59歳はあまりにも早すぎる。

『トニー滝谷』のメイキング。珍しく劇場でレイトショー公開もされたこの映画?を見て、監督の姿、話し、佇まいを見て、もうこれ以上新しい作品は見られないのだと、あらためて確認させられた。

2003年夏の二週間、横浜市緑区の高台にある広大な空き地で、真夏の暑い陽射しの中、みんながステージと呼んだその場所は、ときには主人公トニー滝谷の仕事部屋となり、家に衣装部屋になり、ときにはトニーがA子へプロポーズの場所になり、様々な場所に姿を変えていた。あの緊張感のあるセットが、一日一日刻一刻と舞台さんたちの力で作っては壊し作っては壊していたことは驚きだった。また、自転車に乗ったり、役者の演技に嬉しそうに微笑む監督、空き地でトロンボーン吹いたり、一人演技の練習をするイッセー尾形、駆け足の練習をしたり、イッセイ尾形とアドリブで演技して大笑いする宮沢りえ。映画で感じられた抑制された温度とは裏腹な、現場のスタッフ、キャストのリラックスした姿、裏の姿を見ると、やはり、充電をしないと、よい演技、表現、アウトプットはできないのだなということを、確認させられた。

それにしても、市川準監督の死去。まだ飲み込めない。まだ素直にお悔やみが言えない。

PS.村上春樹原作の映画はなかなかOKをとるのが難しいらしくて少ないが、2010年公開目指して『ノルウェーの森』がトラン・アン・ユン監督の手で映画化される。見たら、きっと比較してみるだろうな。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv41428/
  • 2005年/日本/
  • 監督:村松正浩
  • キャスト:市川準、イッセー尾形、宮沢りえ
  • 本編DVDの中に、特典として同梱

2008年9月15日月曜日

おくりびと


手捌きだけ見ていても美しい

テーマがいい。よくぞこのテーマ『納棺師』を映画にした。俳優も、もっくん、いい(呼び方が古い(苦笑)。流れるように自然でスムーズな手さばき、指先まで演技をしている。チェロを弾く姿も含めて、美しい。山崎努、笹野高史もすばらしい。

だからなのだが、あまりにも惜しい、広末涼子が。彼女のせいではないと思うが、ミスキャストではないかと思う。彼らと比較するのはかわいそうかもしれないが、対等に語れない。残念だけれど。

もうひとつ残念なところ、最後はもっと丁寧に終われなかったものか。ぶち切り感が残った。


  • 2008年/日本/130分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:滝田洋二郎
  • 脚本:小山薫堂
  • 音楽:久石譲
  • 出演:本木雅弘、山崎努、広末涼子、余貴美子、吉行和子、笹野高史

2008年9月7日日曜日

TOKYO!


新しいTOKYO!は見つからなかった

最後に救われた。同じアジア人だからなのかどうかはわからないが、前の2人とは雲泥の差。よく日本を理解していると思えるし、今の日本を代表する社会的テーマを、うまく切り取った。それにしても、最近の香川照之は凄い。当たってる。見る映画見る映画、ぜんぶ彼の魅力で持って行っちゃっている。


  • 2008年/日本・フランス・ドイツ・韓国/110分
  • 『TOKYO!<インテリア・デザイン>』
    監督+脚本:ミシェル・ゴンドリー
    出演:藤谷文子/加瀬亮/伊藤歩/大森南朋/妻夫木聡/でんでん 他
  • 『TOKYO!<メルド>』
    監督+脚本:レオス・カラックス
    出演:ドゥニ・ラヴァン/ジャン=フランソワ・バルメール/石橋蓮司/北見敏之/嶋田久作 他
  • 『TOKYO!<シェイキング東京>』
    監督+脚本:ポン・ジュノ
    出演:香川照之/蒼井優/竹中直人/荒川良々/山本浩司/松重豊 他
  • 公式サイト http://tokyo-movie.jp/

2008年8月30日土曜日

人のセックスを笑うな


永作博美の活躍は喜ばしいが、

永作博美。最近ファンが増えている(と思う)。昔から気にしている自分としては、嬉しいような嬉しくないような。いや、喜ばないといけないだろうな。

逆に蒼井優、そろそろパターンが決まってきているような。どうもいつも似たような役をたくさんやっているような、あるいは似たような役を選んでいるのか、何が来ても似たように演じてしまうのか。今ブレイクしてCMにたくさんでているけれど、事務所としては儲けられるうちにめいっぱい儲けて元をとらないとという戦略かもしれんが、もっと女優として幅を深さを広げて欲しい。2年後に昔話にされてしまうような女優にはなって欲しくないから。

ちょっと最近気になるのは、この映画もそうだけど、大学生、大学生活を題材にした映画が目立つこと。で、どうしても内容が浅くて淡泊なんだよな。大学進学率高いし、大学生活は楽で楽しかったなあと思う人が多いからなのか、映画監督・脚本家の若年化と人生経験の少なさからか。海外の映画で大学生活を舞台にした映画って、そんなに多くない気がする。日本映画、創造力減退の兆しか??? 食傷ぎみだぞ。それに若者にももっと大人な世界を見せないと、映画が今以上に幼稚になる。

2008年8月24日日曜日

練習曲|Island Etude


まねして、台湾一周自転車の旅がしたくなる

シネマート六本木で視聴。台湾シネマコレクションのサイトで予告編を見ていて、これは見ておきたいと思ったものなので、期待持って行こうと思っていたのに、時間管理がゆるくてぎりぎりに駆け込むはめになってしまい、連れにはごめんなさい。

大学卒業を前にした耳が不自由な青年ミンが、ギターをかかえて台湾一周の旅に出る。高雄から反時計回りに自転車での旅(映画では台東あたりから始まる)。旅の途中で出会う、映画撮影クルー、リトアニア人女性旅行者、祖父母との再会、逆回りで自転車で旅をする人、リストラ、旧日本の発電所跡の再開発に議論する人々、、、。「台湾を一周することは、人生そのものを旅することに似ているということを表現したかった」と監督のコメントがあったが、なるほどと思ったり、それはちょっと陳腐なテーマだなとも思ったり。強いメッセージを押しつけることなく、自然な演出で、道すがら紡がれるエピソードはどれもドラマチックすぎることはない。社会の中では平凡か弱い側にいる人たち。キャストにもスターはいない。過剰な演技もない。だから、ふだん味わえない刺激ではなく、自分に当てはめてしんみりと感じさせられた。ちょっと離れた日本の中の物語を見ているようで、不思議な親近感。

結局、主人公の彼は主人公ではなく、現代台湾の語り部というか、あまり語れないので、静かなナビゲーターでした。耳が不自由だから各地の物語に積極介入できないが、それがむしろよかったかも。これを見て台湾一周をする人が増えたというが、気持ちはよく分かる。自分のルーツや自分の国を見直す貴重な時間は、こうして日常から離れた旅でないと確認できないなと思うが、そのきっかけもくれる映画。


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37385/
  • 2007/台湾/108分
  • 監督 脚本 撮影:陳懐恩(チェン・ホァイェン)※『悲情城市』(撮影)
  • 出演:東明相(イーストン・ドン)、張惠春(Saya) 、達倫(K-One)
  • 2007年台湾映画興収第1位
  • シネマート六本木 台湾シネマ・コレクション2008にて

2008年8月17日日曜日

2046


遅ればせながら視聴。「わからない」という評が聞こえていたので、覚悟して、あまり期待しないで見たが、確かにそうかも。ただ私の場合、この映画の前編扱いの『花様年華』を既に見ていたので、見ていない人よりはるかにわかったに違いないし、その分楽しめた。ウォン・カーウァイ慣れしているからか、わからないことを極端に気にしなくなったし(苦笑)。王菲(フェイウォン)も前から気にしているし。映像の美しさ中心に気楽に見たのが良かっただろう。

いつの間にか、彼の新作が出ると一応チェックしないといけない気分になってきた。ということはファン化してきている証拠か。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv33990/
  • 2004年/香港/130分
  • 監督:Wong Ka wai 王家衛 ウォン・カーウァイ
  • 撮影:Christopher Doyle 杜可風 クリストファー・ドイル
  • キャスト:
    Tony Leung 梁朝偉 トニー・レオン(チャウ・モウワン)
    木村拓哉(タク)
    Gong Li 鞏俐 コン・リー(スー・リーチェン)
    Faye Wong フェイ・ウォン 王菲(ワン・ジンウェン/WJW1967)
    Zhang Ziyi チャン・ツィイー 章子怡(バイ・リン)
    Carina Lau カリーナ・ラウ 劉嘉玲(ルル/ミミ)
    Dong Jie ドン・ジェ 董潔(ワン・ジェウェン)

2008年8月11日月曜日

小さな中国のお針子



  • 2002年/フランス・中国/110分
  • 監督:ダイ・シージエ
  • 原作:『バルザックと小さな中国のお針子』( Balzac Et La Petite Tailleuse Chinoise )
  • キャスト:
  • お針子:周迅(ジョウ・シュン)
  • ルオ(羅明):陳坤(チェン・コン)
  • マー(馬剣鈴):劉(リウ・イエ)
  • 村長:王双宝(ワン・シュアンパオ)
  • 仕立て屋:叢志軍(ツォン・チーチュン)
  • メガネ:王宏偉(ワン・ホンウェイ)

2008年8月10日日曜日

薪傳(Legacy)


雲門舞集(クラウド・ゲイト・ダンス・カンパニー)は、台湾を代表するコンテンポラリーダンス集団。世界中で公演を続けていて、その2003年の雲門三十周年記念公演を収録したDVDを鑑賞。

約300年前の、台湾への漢民族の初期入植時代の、大陸を離れる決意、苦難に満ちた航海、荒れ地の開墾、死と誕生、収穫祭などを経て、現代の台湾への祝福、先祖への感謝で終わる、とても分かりやすい。もちろん、説明的な台詞などはないが、ダンサーたちの肉体の表現と色、音楽、衣装で、それを伝えきっていた。それも25年前の演出とは思えないほどモダンでかっこいい。久々にびっくりだ。


2008年8月9日土曜日

おいしいコーヒーの真実|Black Gold


トールサイズのコーヒー1杯330円。
コーヒー農家に支払われる金額は?
わずか、3~9円

この映画は、貧困にあえいでいる農家の実情と、
それを生み出している既特権と必死に戦う、
エチオピアのオロミア州コーヒー農協連の代表メスケラ氏の活動を追ったドキュメンタリーだ。こんなにも身近で、欠かせない飲み物のコーヒーがそれを作っている農家に渡る金額がこんなにも少なくそれが、コーヒー産業を支配する大手企業による理不尽な仕組みの上に成り立っていることがショックだった。

この映画によって、世界中に実情が知られるようになり、フェアトレード製品の普及が進み、何より、当初映画に対してコメントを拒否したり時に妨害していた大手コーヒー企業(クラフト、サラ・リー、スターバックス、ネスレ)が、今では(渋々?)エチオピアのコーヒー豆を買うようになり、事態は進展に向かっている。

美しいものを作るには、醜いことも知っていなければ、作れないというけれど美味しく食べる、美味しく飲むという行為も同じなんだろう。知っていた方がコーヒーを大事に美味しく飲めると思うし、知る前と味わいが変わった気がするし、何ができるか、できることはやろうという気になった。

※フェアトレード・ラベル・ジャパン
http://www.fairtrade-jp.org/

※コーヒー1杯の内訳概算(総務省統計局調査 1998~1999年)

  • 419円
  • タンザニアのコーヒー農家 0.4%(1.4円)
  • タンザニアの流通業者・輸出業者 0.5%(2.1円)
  • 日本の輸入業者・焙煎業者・小売業者 8.2%(34.4円)
  • 日本の喫茶店 90.9%(381円)

※2003年のコーヒー危機時の価格下落後の日本の喫茶店コーヒーとなると、コーヒー農家の取り分は、さらに下がってしまったらしい。



2008年8月3日日曜日

スカイ・クロラ


彼は、永遠に子供で、いつかどこかで会ったことがあるような人に会い、食べたことがあるような味に会い、何度目かの恋をし、何度目かの死を迎える。

彼は、そんな繰りかえしを何とか変えようとする。彼女も別の方法で変えようとする。どちらも変えようとしていることには違いはないのだが、彼女の方は、日々の繰り返しの中にも、細やかな感受性を持って、派手な違いではないけれど、毎日ちょっとした違いを確かめながら生きていくことの大切さを言っているような気がした。

生きるための選択のしかたには、彼のような、と、彼女のような、があって、どっちもありなんだろうと思う。

押井監督作品の中で、一番わかりやすかったかもしれない。

  • 2008年/日本/
  • 監督:押井守
  • 原作:森博嗣
  • 脚本:伊藤ちひろ
  • 声の出演:菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、竹中直人、榊原良子、栗山千明
  • 公式サイト http://sky.crawlers.jp/index.html

2008年7月27日日曜日

ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン|LE VOYAGE DU BALLON ROUGE


監督目当てだったのだが、ジュリエット・ビノシュがよい。吹っ切れているというのか、のびのびやれているのか、すごいはまり役だったのか。今まで見た彼女の中で断然一番。

それを引き出したのがホウ・シャオシェンだったのであれば、やっぱり彼が偉いということか。

振り返ってみたら、ここ10年ぐらいの彼女は、全然見ていなかったらしい。

ゴダールのマリア Je vous salue, Marie (1984年)
汚れた血 Mauvais sang (1986年)
存在の耐えられない軽さ The Unbearable Lightness of Being (1988年)
ポンヌフの恋人 Les Amants du Pont-Neuf (1991年)
トリコロール/青の愛 Trois couleurs: Bleu (1993年)

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37293/
  • 原題:Le Voyage du Ballon Rouge
  • 2008年/フランス/113分
  • 監督:ホウ・シャオシェン 侯孝賢
  • 出演:ジュリエット・ビノシュ、イポリット・ジラルド、シモン・イテアニュ、ソン・ファン、ルイーズ・マルゴラン
  • 公式サイト http://ballon.cinemacafe.net/


2008年7月26日土曜日

一瞬の夢|小武


中国が急速に発展する中で、人が勝ち組負け組に大きく色分けされていく。

同じスリをしていた2人が、片や成り上がって、片やスリの常習犯のまま。成り上がった男は、結婚するときには祝いをやるという約束を果たそうとする男を、世間からの目を気にして(あるいは自分はやつとは違うという意識か)遠ざけようとする。昔の約束を忘れない男が、社会の中では負け組にされていき、約束も忘れ、古い物を壊して捨てていってしまう方が勝ち組になるのは、どうしても虚しさを感じる。そういうもんじゃないだろう、発展するって。

中国の経済発展の暗い部分をドキュメンタリーちっくに描くのは、ジャ・ジャンクーらしいが、その手法が、20代で作ったこの作品ですでにできあがっているのは、さすがに凄い。

  • 原題:小武
  • 1997年/中国・香港/108分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督、脚本、製作:賈樟柯 ジャ・ジャンクー Jia Zhang Ke
  • 撮影:余力爲 ユー・リクウァイ Yu Lik Wai
  • 録音、編集:リン・シャオリン Lin Xiao Ling
  • 出演:王宏偉 ワン・ホンウェイ Wang Hong Wei(小武)、ハオ・ホンジャン Hao Hong Jian(ヨン)、左百韜 ズオ・バイタオ Zuo Bai Tao(メイメイ)、馬金瑞 マー・ジンレイ Ma Jin Rei(お父さん)
  • 1998年ベルリン国際映画祭 最優秀新人監督賞・最優秀アジア映画賞

2008年7月22日火曜日

崖の上のポニョ


怖い。宗介を追ってくる時のポニョの執着心は、もうただ怖い。でも子供というのはそういうものだろう。ひたすら我がままで、自分のことしか考えていない。ホラー映画よりずっと怖い。宗介も、深く考えることなく、というか5歳だから考えられる頭もないだろうが、人生を簡単に約束してしまう。後悔とか悲しいことが待っているなんて何も考えてないんだろうな。


人間の動物的なところばかり強調しているみたいで、映画が楽天的に見える分、逆に陰の部分が浮き彫りになる。世間評では純粋さに感動したという声が多いようだが、自分は主人公たちに感情移入できずで、感情のままに行動してしまう幼児性の怖さを感じてしまった。


  • 2008年/日本/101分
  • あらすじ - goo 映画
  • 原作・脚本・監督:宮崎駿
  • 製作:鈴木敏夫
  • 声の出演:山口智子、長嶋一茂、天海祐希、奈良柚莉愛、土井洋輝、柊瑠美、矢野顕子
  • 公式サイト http://www.ghibli.jp/ponyo/

2008年7月19日土曜日

西の魔女が死んだ


品川プリンスシネマで視聴。入ったら通常料金でプレミアムシートでゆったり。予告編は今まで何度も遭遇していて、期待して見始める。

とても丁寧に作られた上質な映画でとてもよかった。

山育ちの私は、おばあちゃんと彼女が過ごす山の家からは、本当の森の香りがしてくるようだったし、木立の中で雨が降ったときには、湿った木、土、草の匂い、皮膚感覚を思いだしたような気がした。だんだん麻痺してきている繊細な感覚を取り戻したような、あるいは取り戻さなきゃと思える、よい錯覚をさせてもらった。

また、後ろを向いていても、気配や足音だけで誰が来たかがわかって、さりげなく挨拶できることとか、憎しみの心を持たないこととか。自分で決めてちゃんとやりとげることとか。

Yさんが、原作も映画も良かったのは珍しいという。原作も借りて読もう。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37222/
  • 2007年/日本/1時間55分
  • 監督:長崎俊一
  • 原作:梨木香歩(「西の魔女が死んだ」新潮文庫刊)
  • 脚本:矢沢由美/長崎俊一
  • 出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、高橋克実、木村祐一
  • 主題歌:手嶌 葵『虹』(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
  • 音楽:トベタ・バジュン(サウンドスケープCD:Della)

2008年7月13日日曜日

闘茶|tea fight


もっとお茶文化をまじめに描くのかな、とも思っていたが、思いっきりエンタテイメント。少々安易で強引に思える終わり方だったりするけれど、まあ、よしとしよう。思ったより軽く楽しめました。特に台北は好きなので、親近感持って見続けられたし、お茶好きが少しでも増えてくれると、それもまた嬉しいし。

  • 2008年/日本・台湾/102分
  • 原案・監督:王也民 ワン・イェミン ※エドワード・ヤン監督の秘蔵子監督
  • 出演:香川照之(八木圭)、戸田恵梨香(八木美希子)、周渝民 ヴィック・チョウ(楊 ヤン) 、張鈞甯 チャン・チュンニン(如花 ルーファ)、曾志偉 エリック・ツァン(陸羽)、細田よしひこ、ほんこん、藤田陽子
  • 音楽:ショーン・レノン (Sean Lennon)
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37277/

2008年7月6日日曜日

時をかける少女


今まで見ないでいてごめんなさい、すごいよかった。

大林監督+原田知世の実写版もよかったけれど、こっちは全く違った面白さがあって、すごいよい。主人公がかなり活発な少女に変わっているのも時代か。

2008年7月5日土曜日

竜馬の妻とその夫と愛人


ずいぶん賞を獲った映画だったようだけれど、、、感動も悲しみも起きなかった。坂本龍馬という英雄のまわりにいた一般人が、英雄がいなくなってもそれを受け入れられずに、主題のない凡庸以下の人生を歩んでいる、それを映像にしただけ? 

それにしても、他の三谷幸喜作品『みんなのいえ(監督:三谷幸喜)』も『笑の大学(監督:星護)』も面白かったのに、、、。この映画の一番の失敗は、三谷幸喜自身が監督しなかったこと。市川準監督だと『トニー滝谷』なんて最高だったのに、、、。この手のコメディ映画向きじゃないということだと思う。


  • 2002年/日本/115分
  • 監督:市川準
  • 原作・脚本:三谷幸喜
  • 出演:木梨憲武(西村松兵衛)、中井貴一(菅野覚兵衛)、鈴木京香(おりょう)、江口洋介(虎蔵)、橋爪功(勝海舟)

2008年6月28日土曜日

華の愛|遊園驚夢


描いている世界と日常とのギャップを感じすぎてしまうので、憧れとか、嫌悪とか言う前に、どうも距離がありすぎて感受性が動かない。豪華絢爛?、退廃的? 形容できる語彙が乏しい自分を反省してしまうが、その前に、この映画や時代背景とかに好奇心含めて、どうも気持ちが動かない。全部がこの映画のせいじゃないと思うけど。

  • 原題:遊園驚夢(Peony Pavilion)
  • 2000年/中国・香港/
  • 監督:Yonfan ヨン・ファン 楊凡
  • キャスト:宮沢りえ(ジェイド)、Joey Wong 王祖賢 ジョイ・ウォン(ラン)、Daniel Wu 呉彦祖 ダニエル・ウー(シン)、Zhao Zhi Gang ジャオ・ジーカン(イー)
  • 宮沢りえ 第23回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞受賞

2008年6月11日水曜日

夢遊ハワイ|Holiday Dreaming


一番近い国の、一番違う面を嫌でも意識させられる。「徴兵」だ。この映画では、若い男子の部活の合宿的な雰囲気で描かれているので、怖くはなかったけれど。しかし日本のすぐ隣の国では、20歳前後の数年を兵隊として過ごすのが決まりになっていて、いつ攻められるかわからない、攻められたら戦うことが常識なのだということを思い知らされた。軟弱なわたしの頭は、理解できないまま思いっきり左右にぶんぶん振られた。

とはいえ、そんな状況下でも、それなりに恋をし遊び、悲しい思いをし。楽しいけれど、苦さが残る時間を過ごす。いずこの若者もそれは同じなのだな。

ロケ地は、東海岸の花蓮だそうだ。行ってみたいな。一足早くYさんが旅行で花蓮に行ったからということもある。でも、ハワイというとちょっと違う気がするし、ハワイのイメージより暗さ深さがあって個人的にはこっちが好き。
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv35647/
  • 2004年/台湾/100分
  • 監督:シュー・フーチュン 徐輔軍
  • 出演:トニー・ヤン 楊祐寧、チャン・チュンニン 張鈞徐�Aホァン・ホンセン 黄鴻升

2008年6月8日日曜日

頭文字D THE MOVIE


原作読んでいなかったら、ストーリーとか登場人物の関係などが全然わからなかっただろう。バトルシーンは見応えあったけど。

  • 2005年/香港/109分
  • 監督:Andrew Lau 劉偉強 アンドリュー・ラウ
  • 原作:しげの秀一
  • 出演:Jay Chou 周杰倫 ジェイ・チョウ(藤原拓海) / 鈴木杏 スズキアン(茂木なつき) / Edison Chen 陳冠希 エディソン・チャン(高橋涼介) / Shawn Yue 余文樂 ショーン・ユー(中里毅) / Anthony Wong 黄秋生(1) アンソニー・ウォン (藤原文太)

2008年6月7日土曜日

夜の上海|The Longest Night in Shanghai


上海だったら、すぐ行けるから、ピョイって行く人も多いだろうな。悪い人が出てこない。ありそうでないファンタジーな非日常を描いて、人って捨てたもんじゃないよな、みんな良いところあるよな、きっとと感じて、ちょっと元気を出せそうな物語でした。

実際に自分で見た上海よりもかわいい街に映っているし、ヴィッキーもなかなか巡り会えないような、かわいくて魅力的な人に描かれていました。『緑茶|Green Tea』から4年経つのに、むしろ若くて勢いのある人に描かれていた。

もう、15年ほど前に和平飯店(Peace Hotel)に泊まって見た優しいJazzを思い出して懐かしくなった。

2008年6月1日日曜日

幸福な食卓


「家族はできるの大変だけど、簡単になくならない。」「気づかないところでいろいろ守られてる。」 確かになー。もっと、家族ともっと話すことや一緒に食卓を囲むこととか、一緒に旅をするとか、大切にしようと、素直に思いました。

あと、収穫は「北乃きい」。最初は存在感薄いと思っていたが、じわじわ浸透してきて、どんどん目が離せなくなる。この映画の撮影中も成長をしたのではないかな。強い個性は感じなかったけれど、逆に吸収力の強さと将来性を感じました。

そういえば、監督の小松隆志さんも、私にとって懐かしい。「いそげブライアン」でPFFに入選してたっけ。もう20年ぐらいずっと映画頑張っているんだと思うと、嬉しくなった。

2008年5月31日土曜日

夜のピクニック


高校生活の思い出作りになるイベントというと、部活、体育会系だったら大会、体育祭。文科系なら文化祭。あとは全校行事。非日常イベントは、何かが起こる。非日常の場を提供するだけで、そこに参加する人たちは、否応なくそれぞれが何か普通じゃないことをやりはじめるもんでした。この映画では80キロをただ歩く「歩行祭」。

イベントとしては歩き通すだけなんだけど、だんだんみんな無駄なことやる元気がなくなって、普通じゃなくなっていって、本音がむき出しになって、素直じゃないところが削られて。ぎりぎりな状態になると、自分を飾るとか隠すとかやってる場合じゃなくなって、素のコミュニケーションしかしなくなる。だから、それまで、ひとことも言葉が交わせなかったクラスメートの二人が、最後には話しができてしまうのも、非日常が、日常の変なわだかまりを無駄な物としてくれちゃったからなのかと。昔を思い出してちょっと納得。そう変わっていく様子を、最初から最後までつぶさに追っていくのは、見ている方としては、観察者的だけど、興味深かった。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv35683/
  • 2006年/日本/117分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:長澤雅彦
  • 出演:多部未華子 / 石田卓也 / 郭智博 / 西原亜希 / 貫地谷しほり / 加藤ローサ / 嶋田久作 / 南果歩
  • ロケ地:水戸市ほか

2008年5月23日金曜日

100%の女の子


1983年?84年?、大学生時代、「ぴあフィルムフェスティバル'84」で見た映画。ふとネットで、いつのまにやらDVDになっていることを知って即購入した。

村上春樹の「カンガルー日和」の中にある短編小説の映画化だ。まだまだ若かりし頃の室井滋が主演していて、当時彼女は自主映画の女王と呼ばれて、たくさんの自主映画に出演していた。

しかし、そんなことはみんな後から知ったことで、その時は当時の自分が持っていたものさしには収まらなかったがゆえに、たぶん、大学生時代に一番記憶に残った自主映画になったのだ。スチール一枚一枚に色を付けるという、Andy Warhol的にも思える表現をこつこつ映画でやることにびっくりし、また全編通したリズム感は、他に似たものを知らなかった。佐野元春のエンディングソングもあまりにかっこよくはまっていて、帰り道に収録されているアルバム「Heart Beat」を即買いした。当時は貧乏学生であまり金は持ってないので、即買いは決意が必要だった。

あらためて見ると、あのときの衝撃の大きさは減っていて、あれ、こんなもんだったけな?と、20年の間に、ずいぶん世の中も自分も、先に進んだんだなーということを、激しく実感した。

でも、表現が思ったほど古く感じなかったなかったのでほっとした。確かに、今、こういう表現を作ろうと思ったら、やっぱりこつこつ手作りするしかない。古くなってないって凄い。

  • 1983年/日本/11分 16mm
  • 監督:山川直人
  • キャスト:室井滋、ほか
  • 原作:村上春樹「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」(「カンガルー日和」所収)
  • Ending Song:佐野元春「君を探している」歌詞(佐野元春official site)

2008年5月19日月曜日

アイデン&ティティ


これは好き。もう40も過ぎて見ると、青臭いって思うけど。でも逆に今だからそういう青臭さ、ロック、「やらなきゃいけないことを、やるだけさ。だからうまくいくんだよ」なんてメッセージが眩しい。クドカンだし、キャストの演技もさすがにいい。

節目節目に挿入されるディランの詩が効いていて、殴られっぱなし。ボブ・ディランの唄が使われる映画はよくあるけど、個人的にはこれが過去いちばん。

それにしても、無いものを欲しがるし、無くしてから取り戻したくなるものだねえ。
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv32622/
  • 2003年/日本/118分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:田口トモロヲ
  • 原作:みうらじゅん
  • 脚色:宮藤官九郎
  • キャスト:峯田和伸 ミネダカズノブ(中島) / 麻生久美子 アソウクミコ(彼女) / 中村獅童 ナカムラシドウ(ジョニー) / 大森南朋 オオモリナオ(トシ) / マギー マギー(豆蔵) / 岸部四郎 キシベシロウ(事務所社長) / 浅野忠信 / 三上寛 / あき竹城 / 大杉漣 / ピエール瀧
  • Ending Song : Like A Rolling Stone(Bob Dylan) Wikipedia

2008年5月18日日曜日

太陽


ポツダム宣言受諾から人間宣言、マッカーサーとの対面まで、昭和天皇の孤独と苦悩を描く、という意図のようだが、見て感じたのは複雑。戦犯としては見られないし、自分の遠いルーツとして思うと笑えないし、単純にかわいそうとも思えない。見ていて笑っていいのか笑ってはいけないのか、また笑ったら日本人である自分のことも笑うことになってしまわないか、など、いちいち戸惑う。

しかし全体としては、単純な外国人には滑稽に見ていたかもしれない天皇の姿も、彩度を落として、緊張感のあるBGM、ゆっくりした画面展開で、品位を保つことによって、喜劇役者とは全く違うのだという答えにはなっていたと思う。イッセイ尾形の演技も、ものまねとしてではなくリアリティとしてレベルの高い演技だった。思い起こすと初めて彼を見たのは、もう20年以上も前の新宿紀伊国屋ホール「都市生活カタログ」。そのころすでに得意技だった観察力と表現力をここまで昇華させてきたのは、凄いとしかいいようがない。「ヤンヤン 夏の想い出(台湾)」もよいし「トニー滝谷」も。彼には外れがない。


  • 2005年/ロシア・伊・仏・スイス/115分
  • 監督:アレクサンドル・ソクーロフ
  • 出演:イッセー尾形 / ロバート・ドーソン / 佐野史郎 / 桃井かおり / 田村泰二郎
  • イッセイ尾形オフィシャルサイト http://www.issey-ogata.net/
  • 作品情報 http://movie.walkerplus.com/mv35627/

2008年5月17日土曜日

風の前奏曲


19世紀から20世紀に生きた実在のラナート奏者の成長物語。他の奏者との演奏バトルもあり、幸せな音色、荒い音色など、いろいろなラナートの音色が堪能できて、耳に心地よかった。木琴の音色って温かかったなー。19世紀のタイの宮廷文化や人の振る舞い、民度の高さ深みにとても親近感を持った。日本と似ているかも。

侵略国が言語を支配するのと同時に文化も支配するのはよくあることだけれど、タイの1930年代の戦時下に、独立を保つために日本に学んだ近代化政策のひとつとして、自国民が伝統を潰そうとしたなんて、ほんと危なかったんだな。今残っていて良かった。

タイでは大ヒットしたらしいが、グローバル化経済危機などで、タイ人の心のよりどころの危機があった時期に、これがタイの伝統やアイデンティティの確認になったんだとか。

タイ、もう5年くらい行ってない。また行きたいー。


  • 2004年/タイ/105分
  • 監督: イッティスーントーン・ウィチャイラック
  • 出演: アヌチット・サパンポン / アドゥン・ドゥンヤラット / アラティー・タンマハープラーン / ナロンリット・トーサガー / ポンパット・ワチラバンジョン / プワリット・プンプアン
  • 作品情報 http://movie.walkerplus.com/mv34576/

2008年5月6日火曜日

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


もやもやしていた気分をすっきりしたいときに見たんだけど、、、
意地悪、自分中心、勘違い、いじめ、暴力。ブラックというかダークな方向の人間部分を刺激されてしまって、逆効果。

しかし、永作博美はサイコー。痛々しい役も、のびのびした役も。サトエリは素でやっていて限界を感じてしまうが、彼女は役を自分で作っている。まだまだ大きくなる。


  • 2007年/日本/112分
  • 監督・脚本:吉田大八
  • 原作:本谷有希子
  • 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏
  • 主題歌:チャットモンチー「世界が終わる夜に」
  • オフィシャルサイト http://www.funuke.com/

2008年5月5日月曜日

花様年華


先月、ウォン・カーウァイの『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を見て期待をはずしてしまったので、こんなはずはない!と、遡って見た。

1960年代の香港が舞台。チャウ(トニー・レオン)とチャン(マギー・チャン)が、お互いの相手が不倫していることを知って気持ちが揺らぎ、今度は不倫されている2人が惹かれ合って行く。2人のうまさはもちろん、狭い階段、光と陰、雨を効果的に使った画面構成が、緊張感があって美しい。

それにしても、チャウの小説を書くために借りた部屋の番号が『2046』。しこんで遊んでるな。

食事のシーンが多くて、おいしそうに食べるもんだから、無性に鼎泰豊の小龍包が食べたくなった。


  • 2000年/香港/98分
  • 監督,脚本:Wong Ka wai 王家衛 ウォン・カーウァイ
  • 撮影:Christopher Doyle 杜可風 クリストファー・ドイル 、Lee Ping bin 李屏賓 リー・ピンビン
  • 音楽:Micheal Galasso マイケル・ガラッソ
  • 出演:Tony Leung 梁朝偉 トニー・レオン (Chow) 、Maggie Cheung 張曼玉 マギー・チャン (Mrs. Chan) 、Rebecca Pan 藩迪華 レベッカ・パン (Mrs. Suen) 、Lai Chen 雷震 ライ・チン (Mr.Ho)


2008年5月4日日曜日

花蓮の夏|盛夏光年|ETERNAL SUMMER


すごい痛々しい、けど(だから)美しい。

監督は若さ純粋さを失う前に映画にしたかったらしい。確かにそうだろう。世間の不純物を体に取り込んでしまったら、もう撮れない。映像にできてよかったと思う。

この映画から感じることができる自分はまだいるけれど、ずいぶん遠くにきてしまった気がする。かなり距離を感じるけれど、わからないではなく、距離を感じるだけだから、まだまだ若いかな。



  • 2006年/台湾/95分
  • 原題:盛夏光年 ETERNAL SUMMER
  • 出演:ブライアン・チャン、ジョセフ・チャン、ケイト・ヤン
  • 監督:レスト・チェン Leste CHEN 陳正道   
  • 製作:Leste CHEN 陳正道、Patrick Mao Huang 黄茂昌
  • 脚本:Cheng Ping Hsu 許正平
  • 撮影監督:Charlie LAM 林志堅
  • 主題歌:アシン(阿信)from Mayday(五月天)『盛夏光年』(ロックレコード)
  • オフィシャルサイト http://www.karen-natsu.com/
  • 花蓮旅日誌 http://www.hl-net.com.tw/blog/index.php?pl=71 ※ロケ地情報など


2008年4月14日月曜日

マイ・ブルーベリー・ナイツ


ノラ・ジョーンズの映画初主演、ウォン・カーウァイの初英語作品、ナタリー・ポートマンも出演。このへんを期待して見に行った。見て分かったことでは、音楽にライ・クーダーか関わっている曲がたくさん出て(悪いことじゃない)、ストーリーはいかにものアメリカのロードムービー。出演者は豪華だがそれ以外に予算を余り使わない低予算映画的。基本的に嫌いじゃないことなのだが、それ以上ではなかった。

どこかで見たことがある気がしてしまうロケーション。音楽の使い方も昔見たあれっぽいとか。パンフレットを読むと、ロケ地選定のためにアメリカを3回横断したらしいので、楽して撮ったわけではなかったんだなということはわかるが、意外性がないんですね。そこは外国人が日本で映画を撮るとき、日本人が意外に思うロケーションがあんまり無いのと一緒で、監督の知識不足から来るであろう限界を感じた。ストーリーも複雑じゃなく深く考えさせないPV的。


  • 2008年/仏・香港/95分
  • 監督・製作・原案・脚本:王家衛 ウォン・カーウァイ Wong Kar Wai
  • 出演:ノラ・ジョーンズ Norah Jones、ジュード・ロウ Jude Law、デイヴィッド・ストラザーン David Strathairn、レイチェル・ワイズ Rachel Weisz、ナタリー・ポートマン Natalie Portman
  • 音楽:ライ・クーダー Ry Cooder
  • オフィシャルサイト http://blueberry-movie.com/


2008年4月13日日曜日

蛇イチゴ


金魚掃除当番をさぼった男の子。母親が病気だったからと言う。つみきみほ演じる教師役のノリコは、限りなく嘘つき扱いをするが、被害をうけてひとりで掃除をしなければならなかった女の子は、わからないという。本当に病気だったのかもと。

かなり嘘つきの兄、嘘を許せない妹。兄は嘘つきだという決めつけで、兄が家の窮地を救おうとしているのか、騙そうとしているのかも、悪意の方に決めつけてしまう。しかし、最後に、、、。

しかし、監督の年齢を知らずに見たけれど、27~28歳の時にこの脚本が書けるとは。すごいな。

食べられそうな見た目をしているくせに実は食べられない蛇イチゴも、嘘をつかないこともある。決めつけてしまうのはよくないな。


  • 2003年/日/108分
  • 監督:西川美和
  • プロデューサー:是枝裕和
  • 脚本:西川美和
  • 出演:宮迫博之(明智周治)、つみきみほ(明智倫子)、大谷直子(明智章子)、平泉成 ヒライズミセイ(明智芳?)


2008年4月12日土曜日

舞妓 Haaaan!!!


薦められていたので見てみた。脚本、主演がもともと好きなので見る前からノリ想像できていたが、やっぱりさすが。一気に楽しく見させて貰えました。わきの堤、柴咲、伊東もよく、完成度も高い。京都以外の人も外国の人にも、ドキュメンタリーではなくエンタテイメントとして見て欲しいものですね。台北では既に公開されているらしく、もっと広がるとよい。

最近、★が甘い。★★☆が多い。そもそも闇雲に観る時間はないので、薦められたり注目している人つながりで見ているので、大ハズレは無いようにしているわけだが、年寄りの省エネ型の選択が自分で気に入らない。もっと闇雲に見て、当たり外れに一喜一憂できるよにできないものか、、、宿題だ。
  • 2007年/日本/120分
  • 監督:水田伸生
  • 脚本:宮藤官九郎
  • 出演:鬼塚公彦:阿部サダヲ、内藤貴一郎:堤真一、大沢富士子:柴咲コウ、駒子:小出早織、社長・鈴木大海:伊東四朗、先崎部長:生瀬勝久、さつき:吉行和子、こまつ:真矢みき
    医師:北村一輝、修学旅行生:山田孝之
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv36623/

2008年3月23日日曜日

運命じゃない人


もうけた。何の気なしに、スカパー!でやっていたので観たら、かなり面白かった。監督の演出、脚本が新しくて面白い。斬新とまで言って良いのか、映画の観る本数が少ないので過去にこういうのがあったかどうかはわからないが、少なくともおれには初めて。登場人物たちのばらばらにされた時間がだんだん編み込まれていってそういうことになっていたのか、あの場面は・・・と解る推理小説風な演出が絶妙。

有名俳優も出ていないので、逆に映画作品そのものの質と、これで売り出したい監督と俳優の気持ちの入った演技がひしひしきて、自主映画観ている感じが懐かし。


  • 2004年/日/98分
  • 監督:内田けんじ
  • 出演:中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏
  • ぴあフィルムフェスティバル 第14回PFFスカラシップ作品
  • オフィシャルサイト http://www.pia.co.jp/pff/unmei/
  • 2005年カンヌ国際映画祭 批評家週間正式出品作品


2008年3月22日土曜日

HERO


普通にドラマの続編としてと楽しめた。ただし観たのはDVDで。映画館に行っていたら、不満だったろうな。撮り方はまったくもってドラマのままで、映画にはなっていなかったし。。

  • 2007年/日本/130分
  • 監督:鈴木雅之
  • 脚本:福田靖
  • 出演:木村拓哉、松たか子、大塚寧々、阿部寛、勝村政信、小日向文世、八嶋智人、角野卓造、児玉清、松本幸四郎、イ・ビョンホン、国仲涼子、森田一義、中井貴一、綾瀬はるか、 香川照之、岸部一徳


2008年3月15日土曜日

ハチミツとクローバー


蒼井優つながりで見てみた。いやいや彼女は器用だ。本人は依頼が来たときに自分じゃないほうがよいのに・・・と思ったらしいが、マイナスのスタートからでもここまでなりきってできるというのは、さすが女優です。

しかし映画としてみると、心情をそのままナレーションにしてしまう安易な演出を多用している映画はだいたい嫌いなのだが、これもそのタイプ。思考停止、想像力停止させられてしまって、楽すぎて面白くない。私の勝手なノスタルジーだが、少なくとも映画だったらそれはやってほしくない。ストーリー・設定が悪いとは思わないし、役者も個性派揃いでおもしろいので、結局監督の演出哲学しだいか。

大学生の青春モノはいろいろ見てきたけど、これは!と思うものに出会った記憶が、なぜかあんまりない。下だと高校生や中学生の方がよくて、上はもっと大人のほうがよいものに出会っている。私含めて日本の大学生が間の年代で宙ぶらりんで浅くて甘くて緊張感がないからなのか、そう思いたくはないのだが。


  • 2006年/日本/116分
  • 監督:高田雅博
  • 脚本:河原雅彦、高田雅博
  • 原作:羽海野チカ「ハチミツとクローバー」
  • 出演:櫻井翔(竹本祐太)、蒼井優(花本はぐみ)、伊勢谷友介(森田忍)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人(花本修司)、西田尚美(原田理花)
  • 主題歌:スピッツ 魔法のコトバ
  • オフィシャルサイト http://www.hachikuro.jp/