2014年10月14日火曜日

光にふれる|逆光飛翔|Touch of the Light


全盲のピアニストが逆境を乗り越えて夢をつかもうとする、実話を元にした話。
こういう設定だと、見るに堪えない薄っぺらい作品の可能性もあるかもと思って心配していたが、そんなことは杞憂だった。

短編のドキュメンタリーがベースになってて、その監督がそのままこの作品の監督をやっているとのことだが、やっぱり土台がドキュメンタリーの人だけに、しっかりと描こうとしているようだ。何より、障害を持つ人に対するまわりの反応は、いろいろなのが現実だと思うが、まさに現実との違和感を抱かないような描き方をしている。

しかし、最初は全盲という障害のある人の生き方にスポットをあてていると思い込んでいたが、シャオジエがダンサーになることを諦めかけていることが語られるあたりから、2人とも同じような人生のタイミングにあることがわかってきた。実は設定が目立っているが、伝えたい主題は決してそこだけではなく、人がよく陥る、夢に向かってこだわってやり遂げようとせずに、かなり途中であきらめてしまうこと、それを乗り越えることの大切さを訴えようとしているのかなと、感じてきた。結果的に成功者になれるかとは別に、自分が納得できるところまでやり切れたかどうかが、とても大切だなと感じさせてくれた。

光が象徴的に挿入されていて、ドキュメンタリーではあまり見ない演出ではあるが、ちょうどよくシンプルで美しい使われ方をしていた。

  • 2012年/台湾・香港・中国/110分
  • 監督:チャン・ロンジー 張榮吉
  • 提供:ウォン・カーウァイ 王家衛
  • 作曲:ホアン・ユィシアン 黄裕翔
  • キャスト:ホアン・ユィシアン 黄裕翔(ユィシアン)、サンドリーナ・ピンナ 張榕容(シャオジエ)、リー・リエ 李烈(ユィシアンの母)、ファンイー・シュウ 許芳宜(ダンス講師)
  • 公式サイト http://hikari-fureru.jp/
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv54618/
  • 東京国際映画祭 http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=89