彼の映画は『世界』もそうだったけど、現代中国のテーマの切り取り方がすごい。貧富の差とか、都市と農村の差とか、中国が抱えている問題を説明的でなく普通の人の生活を通してみせてくれる。大本営発表のような細部がわからない上からの情報ではなく、民衆から細部からを見せる。テーマはそれは中国だけのことではなく世界のそこかしこで起こっていることなのだろうが、私は日常、そういう感覚から疎くなりがちなので、すごく刺激にもなる。
とかく中国映画というと、演出過剰で劇画風な映画が多いイメージがあるが、彼はその辺がまったく違っていてすごくよい。風景もきれいすぎる観光写真と違って、霧に煙っているのか、砂で煙っているのかよく見えない風景がまたとてもリアルだ。
- 原題:三峡好人 英語題:STILL LIFE
- 2006年/中国/113分
- 監督・脚本:ジャ・ジャンクー 賈樟柯
- 撮影: ユー・リクウァイ、音楽:リン・チャン
- キャスト:チャオ・タオ 趙濤、ハン・サンミン 韓三明、ワン・ホンウェイ 王宏偉
- 配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
- オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/choukou/
- 作品情報 http://movie.walkerplus.com/mv36244/