3部構成の中国のファッションに関わる人たちのドキュメンタリー。
- 1部:大量生産を営む臨海部の民衆
広東省にある服の工場。裁断、ミシン、チェック、、、など工場のラインを横移動で撮影して行くシーンは最初から、立ってご飯を食べる姿など、いかにも中国に持っているイメージ通りの大量生産「ライン」を強く意識させられる
- 2部:大量生産否定のアーティスト
大量生産に疑問を感じて手作りブランドをテーマにしているマー・クーという新進のファッションデザイナー
- 3部:大量生産否定じゃなく折り合いを付けて生きている内陸部の民衆。
中国内陸。監督の故郷山西省の湾岸生産の大量生産品にふつうの仕立て屋を廃業に追い込まれて細々と営むリフォーム店や、炭坑労働者などの民衆が描かれる。
民衆が(都会も内陸も)、たくましく生き生き描かれていると感じ、なんだか日本の昭和を見ているみたいで、これはこれで良いではないかと思えた。アーティストはオリジナリティを感じられなくて魅力なし。結局よかったのは、中国民衆のエネルギーの方。
上映後の監督インタビューで、彼には「ドキュメンタリー的に撮る監督映画」という評があるそうだが、これはその逆で、ドキュメンタリーっぽくないドキュメンタリー映画だったので、そこも技術的なところで興味深かった。
こういう地味な主題の映画なのに、東京国際フォーラムホールC(1502席)がほぼ埋まっていた。プレス含みとはいえ、注目度はたいしたものだと思うが、これも東京だからだな。
- 中国/2007/84分
- 監督:賈樟柯 ジャ・ジャンクー
- プロデューサー:趙濤 チャオ・タオ
- ヴェネチア国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞