2007年1月28日日曜日

不都合な真実 / An Inconvenient Trufh


この映画、見るべき。見て自分を反省しない人、襟を正そうと思わない人は、ほとんどいないはず。

出てくる地球温暖化に関係する事実のほとんどは、前から知っていた。

でもそれに対するとらえ方は、

北極の氷は40年間で40%縮小した。(ふーんそうかー) 南極の氷が溶けると海面が何メートルも上昇する(ふーんまー大丈夫でしょ) 森林伐採どんどんされているよね。(そうだよね困ったもんだよねー) 中国ってどんどん環境汚染してて、その大気が日本に流れてきてるんだよね(ほんと大迷惑だよね) 地球温暖化って、そもそも政治が動かなければどうにもならない大きな問題だからなー。

ぐらいだった。いつもの生活だって、ゴミは減らそうとしてるほうだし、乗っている車は小型車だし、省エネな家電にしてるし、ゴミの分別はこまめにする、、、。環境問題には敏感な方だし、エコな方だと思ってた。

でも、自分って全然ダメダメ。事実を繋げて、ゴアの素晴らしいプレゼンテーションで見せられたら、あー自分は、分かっている風なだけで、モラルのレベルは低かったんだと痛感した。突きつけられた。

それにしても、ゴア。ブッシュとの大統領選挙、僅差で負けたんだったよなー。彼が当選していたら、、、今思ってもしょうがないことだけどなー、残念。でもそこから立ち直って以降、1000回以上、自分で生の声を伝えるために講演に回っているなんて。

あと余談だけど、ゴアのプレゼンテーション技術、見て良かった。ためになった。今まで見た中で一番凄かった。

けど、エコってだんだんうさんくさいビジネス入ってきたから、ちゃんと裏も見ないと・・・鵜呑みにしちゃいけない。


  • 2007年/アメリカ/
  • 監督:デイビス・グッゲンハイム/Davis Guggenheim
  • 製作総指揮:ジェフ・スコル/Jeff Skoll 製作:ローレンス・ベンダー/Lawrence Bender ほか
  • 出演:アル・ゴア/Al Gore(元アメリカ副大統領)
  • 日本版オフィシャルサイト:http://www.futsugou.jp/
  • 英語版オフィシャルサイト:http://www.climatecrisis.net/

2007年1月21日日曜日

世界|The World


北京のテーマパークが舞台。地方出身者が夢を持って集まってくるが、現実を目の当たりにして、ひとつひとつ諦めていく人々が描かれる。きっと世界中のどこの都会でも同じなのだろう。現実に近い世界をこれでもかこれでもかと突きつけ続ける。現実から逃避できる場所として映画館に行く人も多いだろうに。これをみるとネガティブな再確認になる。

人々の夢の象徴である「世界」を、夢をテーマパーク「世界」で済ませる人。そこを仕事場とする人。都会で根無し草の不安感、行き場のない閉塞感を持って生きている人々。このぐらいいいだろう、このぐらいしょうがないだろうと、日頃誰もがやっている小さな罪を目の当たりにして懺悔させて、追い込んで、追い込んで、袋小路に追い詰めて。

でも、追い込まれた袋小路で、後ろの戸が開いて、こっちだよ、とちょっと救われる。空騒ぎな元気な姿で始まり、2時間以上の、目をそらすことのできないシーンの連続は、結局最後に救ってもらった感じ。

こういう映画は、残ってしまいます。いじめられた後に助けられたみたいで、まいった。

ふと、「あの夏、いつか静かな海」を見直したくなりました。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv34528/
  • 2004年/日本,フランス,中国/133分
  • 監督・脚本:Jia Zhang Ke 賈樟柯 ジャ・ジャンクー 撮影:Yu Lik-Wai 余力爲 ユウ・リクウァイ 音楽:Lim -Giong 林強 リン・チャン 製作:オフィス北野
  • キャスト:Zhao Tao 趙濤 チャオ・タオ(Tao)、Chen Taisheng 成泰■ チェン・タイシェン(Taisheng)
  • オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/sekai/

2007年1月14日日曜日

天空の草原のナンサ


モンゴルの遊牧民の少女が、一匹の犬と出会うことから始まる物語。

モンゴルの人々の生活をしっかり映像で見たのは初めてなのに、前から知っていたようなモンゴルの人々がスクリーンの中にいた。身近ではなかなか見ることができないような笑顔が見られた。文明というものに囲まれて欲望をかき立てられて生きている私の生活からは、絶対得られない自然な生活を見た。大仰な効果音もないし、俳優のオーバーアクションもない。素材のまんまのモンゴルの人々を丁寧に丁寧に写し取られていて、こつこつ素朴にたくましく生活している様子が、すごく自然に伝わってきた。

どうしてそんなに自然に感じたのかと考えたら、「自然を屈服させるのではなく、自然や動物と共に生きる」そんな彼らの人生観が、私も自然に思っていることだったから共感しやすかったのかなと思った。


  • 2005年/ドイツ・モンゴル/
  • 監督・脚本:ビャンバスレン・ダバーン
  • 出演:ナンサル・バットチュルーン、ウルジンドルジ・バットチュルーン、ツォーホル
  • オフィシャルサイト http://www.tenku-nansaa.com/

2007年1月13日土曜日

サトラレ


もし自分の考えていることがまわりに筒抜けになっているとしたら。この映画の設定は荒唐無稽だけれど、そのへんのことは忘れて、どんどん引き込まれた2時間。技術面は突っつく人いっぱいいると思いますけど、現実世界はもっとどろどろですが、そういうことは考える間もなく一気に見た。

終わってからは、いつもあたりまえに思ってしまっていることを、生きるスタンスみたいなものをあらためて考えた。

小さい頃は大人から「嘘をついてはいけません」と言われたのに、いつのまにか大人の世界は「小さな嘘はつくもの」「上手に生きなさい」「正直すぎると馬鹿を見るよ」そんなふうに言われる。納得いかない思いをして今に至る世渡り下手なわたしでも、それなりに社会経験を積むと、汚れたというか、それなりに、時々罪悪感持ちつつ当たり前に生きているけれど。

上手に生きていけない自分の言い訳もありますけど(泣)でも、ずるをしない、嘘をつかないというのは、どうしても基本だなと。

補足。八千草薫さん、寺尾聰さん、あと小木茂光さんの演技、よかった。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv31852/
  • 2001年/日本
  • 監督:本広克行
  • 原作:佐藤マコト
  • 出演者:安藤政信 、鈴木京香 、八千草薫 、寺尾聰 、内山理名 、小野武彦 、小木茂光

2007年1月8日月曜日

硫黄島からの手紙|Letters from Iwo Jima


アメリカ編は、知識としてあたらしい収穫はあったけれど、一本の映画としてみると、金額分の価値はなかったかなと思った。けれど、日本編も見て、アメリカ編は予習だったのだと捉え直すと、意味があったなと考え直した。アメリカ側の物語と日本側の物語の2部構成とした仕掛け側の狙いはあらかじめ想像はついていたつもりだったけれど、実際に見てみると、想像以上にあらためて感じる部分はあるもんです。2本で1本である意味はあった。

なんでもそうだけど、争いごととか犯罪とかは、とかく一方の側からしかとらえない。勧善懲悪な映画は数多いけれど、戦争映画もけっこうそういうのが多い。それが普通の戦争映画だとすると、これは戦争映画ではなかった。一本でそれを伝えようとすると、シナリオが表と裏、現在と昔をジャンプさせたりして、すごい複雑にしてしまう。それを、きちんと2本に分けることにしたので、人間関係も複雑にしないでわかりやすく伝えることが可能になったとも言えるので、それは成功したと思う。

ひっくりかえして反対側から見てみなさいと言うのは、むかし企画の勉強法で習ったことだが、それを2本通して見ることで自然に両側から見る体験ができた。

2時間半はそれほど長く感じなかったし、シートが良かったので、ゆったり思索を巡らす時間もあったし、年始に考える時間とテーマをもらえた。事件の裏と表、加害者と被害者、両方のことを想像できて人としてちゃんと判断できる人でありたい。



2007年1月7日日曜日

夏至


第1作「青いパパイヤの香り」がすごい気に入ったので期待して見たのだが、超えられてなかった。残念。

映像をファッショナブルにしたかったんだなというのはわかる。「人は2人を同時に愛せるか」というテーマだったようだが、結局いろんなケーススタディを見せただけで消化不良。きれいに着飾った好きな映像を撮りたかっただけに思える。自分の妻の美しさを映像に記録したかったんだろうなというのもよくわかる。しかし、すべて薄っぺらに感じられた。

こういうの好きな人もいると思うけど、私にはダメだった。

エンディング・テーマ曲、ベトナムの国民的な作詞・作曲家のチン・コン・ソンの曲も、美しくて切ないよい曲だった。ルー・リードの「コニー・アイランド・ベイビー」が使われてたのは個人的に○だが、この映画に使うとなると繋がりが感じられない。なんか、浅い愛だったかなー。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv31998/
  • 原題 : A la Vertical de L'ete
  • 2002年/ベトナム・フランス/112分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:Tran Anh Hung トラン・アン・ユン
  • 出演:Tran Nu Yen Khe トラン・ヌー・イェン・ケー (Lien)、Nguyen Nhu Quynh グエン・ヌ・キン (Suong)、Le Khanh レ・カイン (Khanh)

2007年1月6日土曜日

藍色夏恋|藍色大門|Blue Gate Crossing


この手の高校生ものでは、今世紀に入って一番。保存版としてDVDも購入。

チェン・ボーリン(陳柏霖)もグイ・ルンメイ(桂綸[金美])も輝いている。はやくこれを上回る作品で再見したいものだ。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv32513/
  • 原題 : 藍色大門 英題:Blue Gate Crossing
  • 2002年/台湾・フランス/84分
  • 監督:Yee Chin-yen 易智言 イー・ツーイェン
  • キャスト:Chen Bo-lin 陳柏霖 チェン・ボーリン(Zhang shihao)、Guey Lun-mei 桂綸[金美] グイ・ルンメイ(Meng Kerou)、Liang Shu-hui リャン・シューホイ(Lin Yuezhen)、Joanna Chou ジョアンナ・チョウ(Mrs. Meng)

2007年1月4日木曜日

青いパパイヤの香り|L’ODEUR DE LA PAPAYE VERTE


1951年、ベトナム戦争前の平和だったころのベトナム、サイゴンが舞台。下働きの使用人としてまだ10歳の女の子ムイが田舎からやってくる。一見平和そうに見える家庭の日常の生活シーンを、淡々と丁寧に、言葉少なに描いていく。

極めて単純明快なスカッとした映画、青春恋愛ものなどを期待する人は、もしかしたら退屈で、きっと寝てしまう。台詞は少ないし、ストーリーも変化が少ない。でも、2時間、ぜんぜん飽きなかった。言葉が少ないかわりに映像がすごく美しくて饒舌。料理、配膳、草木の水やり、床掃除、虫鳥の鳴き声、蟻、汗、雨、室内インテリア、、、そして主人公のしぐさ。とにかく繊細で細やかな描写が続く。ストーリーが速いテンポで展開していかないかわりに、観る側が細かなところまで、いちいち素材の質感までも、しっかり噛みしめる時間をもらえていたかのようだ。

この技術はどこからきているのか。ベトナムが舞台で、話される言語もベトナム語。監督もベトナム人だし、キャストもベトナム人。しかしこれはフランス映画だ。あるいはベトナム人がフランス映画を撮ったというようなものだろう。

リアルさで言えば、もっと湿気があるだろう、とか、太陽の日差しはもっと強いはずとか、最近ベトナムに行ってきたのでちょっと思った。しかしそもそもこれは、リアルを追求したドキュメンタリーではなく、リアリティに執着して作り込まれていた映画のはず。全編フランスでのスタジオ撮影だというが、だからこそ、繊細な映像の完成度、監督が執着する作り込みに執着して、本物以上に本物らしくすることができたのだろうと思う。

もちろん、フランスがこの映画を作ったのではない。監督、トラン・アン・ユンがいたからこそできた映画だ。フランスでどんな勉強をしてどんな人に影響を受けたのか、知りたくなった。勝手な想像では、、、やっぱり、フランスのヌーベルバーグの作家たち、特にルイ・マル。もしかしたら、ヒッチコック、小津安二郎あたりもあるか。(調べたら確かに小津、それに黒澤、溝口の影響もあるらしい)

それにしても、最近よく見る台湾とか中国の映画でも、映画監督はアメリカやヨーロッパ(フランス)や日本に影響を受けていて、自国のトラディショナルな良さを生かしつつ、ほかの良いところを吸収しているのを感じる。「あそこの国の映画は、、、」みたいなステレオタイプな見方は、これまでよくあったし、私にもあったけど、もうそういうのは古いな。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv16415/
  • 1993年/フランス・ベトナム/104分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督・脚本:トラン・アン・ユン Trần Anh H�ng
  • 撮影:ブノワ・ドゥローム Benoit Delhomme
  • 音楽:トン=ツァ・ティエ Ton That Tiet 
  • キャスト:トラン・ヌー・イェン・ケー Trần Nu Yen Khe (ムイ20歳)、リュ・マン・サン Lu Man San (ムイ10歳)、グエン・アン・ホア、クエン・チー・タン・トゥラ、ヴォン・ホイ
  • 受賞:カンヌ国際映画祭(カメラ・ドール)(1993)