2014年10月31日金曜日

恋人たちの食卓|飲食男女|Eat Drink Man Woman


魚を澄んだ水からつかみあげ、捌く、油で揚げ、野菜や肉を切る小気味よくリズミカルな音、無駄のない手の動き、、、料理人の美しく鮮やかすぎる職人技のクローズアップで一気につかまれる。

しかし、それが日曜日の午後で、夕飯は、父と娘3人が過ごす定例行事になっていて、それはあまり歓迎されてないことがわかってくる。これ以上なく美味そうに見える料理なのに、それに反して人間たちは必ずしも幸せではない。

ここまでで、もう興味ががっちり掴まれてしまった。

舞台は台北。一流ホテルの料理長(圓山大飯店の設定)を務めていた父親は、妻をなくして16年娘3人を育ててきた。子離れできない父と、父が心配で家を離れられないが、恋も結婚もしたい娘らそれぞれの転機が訪れてくる話。

わかりやすい話と思って展開をある程度先読みしながら見ていくのだが、随所随所でびっくりな展開がでてくる。他の作品でもそうだが、アン・リー監督にはやられてしまう。実は監督脚本の手のひらの上。参った。
  • 1994年/台湾/125分
  • 監督:アン・リー 李安
  • キャスト:ラン・シャン 郎雄(チュ氏 老朱)、ヤン・クイメイ 楊貴媚(チアジェン 家珍)、ウー・チェンリン 呉倩蓮(チアチエン 家倩)、ワン・ユーウェン 王渝文(チアニン 家寧)
  • 作品詳細:http://movie.walkerplus.com/mv16788/

2014年10月30日木曜日

四月は君の嘘


やっぱりこのマンガだったら、曲をわかって読まないと。
ということで、リストにしてみました。
11巻(完結?)が待ち遠しい。

講談社公式挿入曲 ( Youtube )

単行本第1巻 宮園かをり演奏曲 クロイツェル
https://www.youtube.com/watch?v=eRQZkeEYMko

単行本第1巻 有馬公生演奏曲 キラキラ星変奏曲
https://www.youtube.com/watch?v=XYe_3T8G5JI

単行本2巻 デュオ演奏曲 序奏とロンド・カプリチオーソ
https://www.youtube.com/watch?v=n1MJmliSTIk

単行本3巻 相座武士演奏曲 ショパン エチュード10-4
https://www.youtube.com/watch?v=y5jBKlzBeDc

単行本4巻 井川絵見演奏曲 バッハ平均律1-3
https://www.youtube.com/watch?v=0AeW24p2_Ao

単行本4巻 井川絵見演奏曲 ショパン 「木枯らし」
https://www.youtube.com/watch?v=SkHVuGcC7iQ

単行本5巻 有馬公生演奏曲 ショパンエチュードop.25-5
https://www.youtube.com/watch?v=TlbC0Qm2-ZQ

有馬公生演奏曲 バッハ平均律1-15
https://www.youtube.com/watch?v=Vz_hdH0O1Kk

有馬公生演奏曲 「愛の悲しみ」ラフマニノフ
https://www.youtube.com/watch?v=lEEHAxUyL5A

四月は君の嘘 「愛の悲しみ」世界初!クライスラー on ラフマニノフ
https://www.youtube.com/watch?v=V-dH5wz5q4w

公生+凪 ピアノ連弾曲「薔薇のアダージオ」
https://www.youtube.com/watch?v=KIWVf6exCRc

公生+凪 ピアノ連弾曲 組曲《眠りの森の美女》より〈ワルツ〉
https://www.youtube.com/watch?v=4EEA6e687Nc

  • TVアニメ「四月は君の嘘」オフィシャルサイトhttp://www.kimiuso.jp
  • 著者・原作:新川直司


2014年10月20日月曜日

ウェディング・バンケット|喜宴|The Wedding Banquet


台湾からアメリカに帰化した青年とアメリカ人青年の同性カップルが、早く結婚して孫が欲しい両親のプレッシャーをかわすためにグリーンカードが欲しい上海出身の女の子と偽装結婚して起こる騒ぎの物語。

作風は、小津安二郎風の作風をよく消化して取り入れているように感じた。ただ違うのは、アメリカの現代の社会問題をいくつも扱っていて、小津映画にあまり感じなかったところだったので、そこがアン・リー監督の特長だろうか。

  • 1993年/台湾、アメリカ/106分
  • 監督:アン・リー 李安
  • キャスト:ウィンストン・チャオ(ウェイトン 高偉同)、ミッチェル・リヒテンシュタイン(サイモン)、メイ・チン(ウェイウェイ 顧葳葳)、ラン・シャン(ウェイトンの父)、グァ・アーレイ(ウェイトンの母)
  • ベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリ)受賞
  • 作品詳細:http://movie.walkerplus.com/mv10108/

2014年10月14日火曜日

光にふれる|逆光飛翔|Touch of the Light


全盲のピアニストが逆境を乗り越えて夢をつかもうとする、実話を元にした話。
こういう設定だと、見るに堪えない薄っぺらい作品の可能性もあるかもと思って心配していたが、そんなことは杞憂だった。

短編のドキュメンタリーがベースになってて、その監督がそのままこの作品の監督をやっているとのことだが、やっぱり土台がドキュメンタリーの人だけに、しっかりと描こうとしているようだ。何より、障害を持つ人に対するまわりの反応は、いろいろなのが現実だと思うが、まさに現実との違和感を抱かないような描き方をしている。

しかし、最初は全盲という障害のある人の生き方にスポットをあてていると思い込んでいたが、シャオジエがダンサーになることを諦めかけていることが語られるあたりから、2人とも同じような人生のタイミングにあることがわかってきた。実は設定が目立っているが、伝えたい主題は決してそこだけではなく、人がよく陥る、夢に向かってこだわってやり遂げようとせずに、かなり途中であきらめてしまうこと、それを乗り越えることの大切さを訴えようとしているのかなと、感じてきた。結果的に成功者になれるかとは別に、自分が納得できるところまでやり切れたかどうかが、とても大切だなと感じさせてくれた。

光が象徴的に挿入されていて、ドキュメンタリーではあまり見ない演出ではあるが、ちょうどよくシンプルで美しい使われ方をしていた。

  • 2012年/台湾・香港・中国/110分
  • 監督:チャン・ロンジー 張榮吉
  • 提供:ウォン・カーウァイ 王家衛
  • 作曲:ホアン・ユィシアン 黄裕翔
  • キャスト:ホアン・ユィシアン 黄裕翔(ユィシアン)、サンドリーナ・ピンナ 張榕容(シャオジエ)、リー・リエ 李烈(ユィシアンの母)、ファンイー・シュウ 許芳宜(ダンス講師)
  • 公式サイト http://hikari-fureru.jp/
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv54618/
  • 東京国際映画祭 http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=89

2014年10月5日日曜日

最後の晩餐|分手合約


韓国ドラマお得意の『辛く苦しい状況を乗り越えて愛を貫く純愛物』というシチュエーション。
だが、キャストもロケーションも台湾+中国だからか、台湾ドラマのB級っぽさも加えて、いいとこ取りをした感じ。ユーモアも、しんみり感も、みんなほどほどに加減がよい。
台湾の役者さんが多いからか、ハングルとか大陸の中国語の喧嘩しているような語感のトゲトゲ感がなく感じて、楽にみられた。

  • 2013年/中国・韓国/103分
  • 監督:オ・ギファン
  • キャスト:バイ・バイホー 白百何(チャオチャオ)、エディ・ポン 彭于晏(リー・シン)、ペース・ウー(チョウ・ルイ)
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv54544/
  • 公式サイト http://bansan-movie.com/

2014年10月4日土曜日

ウォールフラワー|The Perks of Being a Wallflower


繊細な人が繊細な人と接していると
細かいところまでわかりあえるから、気持ちも楽になる。
食べ物も、楽しみも、音楽も細かいところまでわかりあえるから楽しい。

でも、なんでも繊細な人はなかなかいないし
なんでも大雑把な人もなかなかいない。
自分の気持ちを保護するために、大雑把になった人だっている。きっと。
とても繊細な壊れやすい人たち、そこかしこにたくさんいるかもしれない人たちを、
だいじに丁寧にあつかった映画だったように感じた。

  • 2012年/アメリカ/103分
  • 監督・脚本:スティーヴン・チョボスキー
  • キャスト:ローガン・ラーマン(チャーリー)、エマ・ワトソン(サム)、エズラ・ミラー(パトリック
  • 公式サイト http://wallflower.gaga.ne.jp/
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv53985/


2014年10月2日木曜日

推手|すいしゅ|Pussing Hands


アメリカ人女性と夫の中国人、北京生まれの祖父朱老人。家族であっても、容易にわかりあえない双方のもどかしさを中心に、全編通じて人間関係が描かれるが、それが太極拳の優雅な動きを挟みながら描かれる。それがなかったら辛いだけのシーンも、気持ちを切らさずに見せていく。

中で、印象深かった言葉を2つメモ。

「相手のバランスを崩して自分の安定を保つ。攻められたらその力をかわし、相手にそれを返す。力を抜いて、抵抗せず、手は接触させたまま・ ・・」

最後の方で、朱老人の息子が「推手」(=太極拳)について説明をするのだが、それが、人と人との付き合い方を普遍的に表しているようで面白い。

「あんた中国出身だな。中国ではなんでも分け合うんだろ。その考えが怠け者をつくる。役立たずめ。中国へ帰って他人のスネをかじれよ。ここはアメリカだ。分け合いはしない。自分のものは自分で稼ぐんだ」

これは、朱老人と対立する中華料理店のオーナーの言葉だ。

現在の中国だったら、アメリカと価値観は近い気がするが、そのまた昔の朱老人が生きた北京はそうだったのか(分け合っていた)と思うと、それが失われたのは(たぶん)ちょっと残念な気がした。また、当時は古い中国とアメリカの対比の表現だったのだろうが、現代の日本とアメリカ・中国との違いにも思えてしまった。

終盤に向けて、対立していた関係も表面的には穏やかになっていく。しかし、最後に朱老人が心を許せるようになるのは趙夫人。育った場所、時代が同じで、たぶん良し悪しの価値観がとても近い超夫人と近くなり、その他の人とは距離を置く。推手は処世術、かわすテクニックであって、結局は、世代価値観が同じ人との方がうまくいくと言っているように思えた。

推手的なやり方が大切だということを描いて終わるのかと思っていたら、所詮それはテクニック、必要悪だよ、簡単にわかりあえたりしないさとつぶやいているようで、またこの監督は癖があるなと感じた。とても考えさせられることが多い、良作だった。

  • 1991年 / 台湾 / 108分 ※アン・リー監督の商業映画デビュー作
  • 原題 推手|Pussing Hands
  • 監督:アン・リー 李安 Ang Lee
  • キャスト:ラン・シャン 郎雄(朱老人)、ワン・ライ 王莱(陳夫人)、ワン・ボー・チャオ 王伯昭(アレックス 暁生)、
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv29722/