2008年2月22日金曜日

青の稲妻


賈樟柯監督の過去作。中国の裕福ではない地域で暮らす19歳男子の、2000年時点での日常はきっとこんなんだったんだろうと思わせる、かなりドキュメンタリーな映画だ。かなりやるせない気分で終わったのでスカっとしないのだが、だからといって嫌いという訳ではない。むしろ残る。賈樟柯作品はみんなそう。

今までは、ケンカ、拳銃、襲撃、叫び、バイクで疾走・・・などのシーンが登場する映画を日本の映画で若い監督が作ると、嘘っぽくて、陳腐で、ほとんど妄想とか自己満足にしか思えなくて嫌いだった。でも、この映画を機会に、自分の考えを微修正した。自分の思い通りにいかないことが多くて、スカッとする選択をしたくても、結局仕方がない選択をして時間が流れていく。国を問わず19歳の多くはこうなのかもしれないと思った。切迫度合いは国とか時代とか階層によっても異なると思うけど、社会に出る若者の心情としては普遍的かもしれない。つまり、テーマ自体はまあありなんだけど、やっぱり監督の問題ということだ。

監督が去年の東京フィルメックスで来日したときに、「ドキュメンタリーはエンタテイメント的に、エンタテイメントはドキュメンタリー的に撮る」と自分を評していたが、あーやっぱり、昔からそうなんだと確認。

しかし、何をどう考えたらこの邦題「青の稲妻」になるのか! わからん。


  • 原題 : 任逍遥 Unknown Pleasures
  • 2002年/中国・日本・韓国・フランス/112分
  • 監督:Jia Zhang Ke 賈樟柯 ジャ・ジャンクー
  • キャスト:Zhao Tao 趙濤 チャオ・タオ(巧巧)、趙維威 チャオ・ウェイウェイ(斌斌)、李竹斌 リー・チュウビン(喬三)、周慶峰 チョウ・チンフォン(圓圓)、Wang Hong Wei 王宏偉 ワン・ホンウェイ(小武)


2008年2月17日日曜日

犬猫


『人のセックスを笑うな』を見損ねている間に、同じ井口監督先品のこっちを先に見た。おもしろい。内向的奥手不器用と、積極的器用な対照的なおんな2人。仲悪いのか仲良しなのか、駆け引きしたり、ほんとにけんかしたり、近づいたり離れたり、、、。一連の描写がとても。タイトルで誤解するが犬猫は出てくるがあくまでチョイ役。2人の女性のメタファーとしてでした。

描写のスタイル?は、特にカメラの距離なのかレンズの選択なのか、ちょうどよく好き。不自然に近くなく、カットもほどほど長くて。セリフの量も絶妙な量。嘘くさい大事件がないし。好きな映画の条件にいくつもはまってました。


  • 2004年/日本/94分
  • 監督・脚本・編集:井口奈己
  • 主題歌:「うしろ姿の人」湯川潮音
  • 出演:榎本加奈子(ヨーコ)、藤田陽子(スズ)、忍成修吾、小池栄子、西島秀俊


2008年2月16日土曜日

亀は意外と速く泳ぐ


ちょうどスカパー!でやってたので、軽い気持ちで観たけど、期待を裏切ることなく、プラスマイナスゼロでした。時効警察のスピンアウト企画感覚で、らくーに観られました。実はそれって、役者さんの演技は安心してみられるレベルだったということなんですね。大根役者がひとりはいっていると、もうそれだけでずっと気になってしまうたちなので。だから、ちゃんとできていてよかった。

そういえば、蒼井優の住まいも、「あ、時効~のあそこででてきた家だー」と気がついて、帰ってきたような懐かしい気分。


  • 2005年/日本/90分
  • 監督:三木聡
  • 出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤、伊武雅刀、松重豊、村松利史、森下能幸、緋田康人、温水洋一、松岡俊介、水橋研二、岡本信人、嶋田久作
  • http://www.wilco-jp.com/kamehaya/index.htm
  • ロケ地 http://loca.ash.jp/info/2005/m2005_kamehaya.htm


2008年2月12日火曜日

鬼が来た



  • 原題:鬼子來了
  • 2000年/中国/140分
  • 監督・製作・共同脚本:姜文 チアン・ウェン Jiang Wen
  • 出演:姜文 チアン・ウェン Jiang Wen(マー・ターサン)、香川照之 Kagawa Teruyuki(花屋小三郎)、姜鴻波 チアン・ホンポー Jiang Hong-bo(ユィアル)、袁丁 ユエン・ティン Yuen Ding(通訳トン・ハンチェン)、叢志軍 ツォン・チーチュン Cong Zhi-jun(ユィアルの義父)
  • 公式サイト http://www.gaga.ne.jp/onigakita/


2008年2月10日日曜日

死ぬまでにしたい10のこと


人生の期限がわかるときがきたら、あるいはいつそんなときが来てもいいように、一刻を充実させて、そしてまわりのことも考えて優しい生き方をしていなければいけないな。目の前のことをやらなければならないからと、ついついそれを言い訳にして、流されて時間を消費してしまってたな。反省。あと10分でひとつ歳が増えるけれど、あらためて、大切に生きよう。

しかし、この映画も邦題は失敗している、というより間違っている。「My Life Without Me」の方が絶対よい。実際ストーリーは「人生の残りを充実させるために10のことをしよう」ではなく、ほとんど「自分の周りの人たちに希望を残していくこと」だったから。

あと、癌という病気、そのときが来るまで、本人や家族の考え方次第で余命を濃く生きることが可能なのだという考え方もできる。同じ死ぬなら、突然の死よりもよいかも。もちろん、実際苦しみや痛みは、患者になってみないと分からないし、ひどいと堪えきれないほどのものだとも聞くので、知らない自分が単純にそっちの方がいいなどとは言えないけれど。


  • 原題 : My Life Without Me
  • 2003年/スペイン・カナダ/106分
  • 監督:イザベル・コイシェ Isabel Coixet
  • 出演:サラ・ポーリー Sarah Polley、マーク・ラファロ Mark Ruffalo、スコット・スピードマン Scott Speedman、レオノール・ワトリング Leonor Watling、デボラ・ハリー Deborah Ann Harry(ブロンディのデボラ・ハリーでしたか!)


2008年2月9日土曜日

見知らぬ女からの手紙


粘りとか、こだわりとか、執着する心は、人それぞれに強さは違っても、みな持っているものだろうが、ここまでになると美しいというより怖い。

最初はかわいい一途な夢だったのだろう。それが、大学生の時に夢が叶って親密になったはずだったのに、その後連絡が途絶えてしまったこと、忘れ去られてしまったこと、子供ができたところで、愛情の質が変わった。自分を思いださない男への恨み、何としても思い出させてやるという意志、子供には惨めな生活はさせたくない、彼と同様の生活をさせてやる。そんな彼女の意地にも似た意志が目標になったかのうようだった。目の演技にその凄みが出ていて、だから終盤の彼女のまなざしは怖い。

姜文の起用は? もっとルックスがよくかっこよいインテリだったら、もっと納得感が出たろうに。そこが嘘くさい感じがしたのと、いくらなんでもここまで忘れるかな? という2点が釈然としなかったので、観ながらついついひっかかってしまったのが残念。私としてはキャスティングは不満足。

しかし、映像も音楽も美しい。彼女の監督としてまとめ上げる力、完成度を上げるために必要な執着心は並ではない。期待しよう。


  • 2004年/中国/90分
  • 原題:一個陌生女人的来信
  • ※マックス・オフュルス監督「忘れじの面影」('48)のリメイク
  • 監督 製作 脚本:徐静蕾 シュー・ジンレイ
  • 撮影:李屏賓 美術:曹久平
  • 出演:徐静蕾 シュー・ジンレイ、姜文 ジャン・ウェン、林園、黄覚
  • 音楽:久保田修、林海 リン・ハイ
  • 公式サイト(中国語) http://www.xujinglei.org/main/index_e.htm
  • 徐静蕾ブログ(中国語)http://blog.sina.com.cn/xujinglei


2008年2月2日土曜日

百年恋歌|最好的時光|THREE TIMES



第一話 1966年「戀愛夢」文革直前
休暇で郷里に戻ってきた兵役中の若者と、ビリヤード場で働く女性
第二話 1911年「自由夢」辛亥革命後
叶うことのない自由を夢見る芸妓と、インテリ青年
第三話 2005年「青春夢」
台北に住むバイセクシャルの歌手とその恋人、そして根無し草のような青年