1983年?84年?、大学生時代、「ぴあフィルムフェスティバル'84」で見た映画。ふとネットで、いつのまにやらDVDになっていることを知って即購入した。
村上春樹の「カンガルー日和」の中にある短編小説の映画化だ。まだまだ若かりし頃の室井滋が主演していて、当時彼女は自主映画の女王と呼ばれて、たくさんの自主映画に出演していた。
しかし、そんなことはみんな後から知ったことで、その時は当時の自分が持っていたものさしには収まらなかったがゆえに、たぶん、大学生時代に一番記憶に残った自主映画になったのだ。スチール一枚一枚に色を付けるという、Andy Warhol的にも思える表現をこつこつ映画でやることにびっくりし、また全編通したリズム感は、他に似たものを知らなかった。佐野元春のエンディングソングもあまりにかっこよくはまっていて、帰り道に収録されているアルバム「Heart Beat」を即買いした。当時は貧乏学生であまり金は持ってないので、即買いは決意が必要だった。
あらためて見ると、あのときの衝撃の大きさは減っていて、あれ、こんなもんだったけな?と、20年の間に、ずいぶん世の中も自分も、先に進んだんだなーということを、激しく実感した。
でも、表現が思ったほど古く感じなかったなかったのでほっとした。確かに、今、こういう表現を作ろうと思ったら、やっぱりこつこつ手作りするしかない。古くなってないって凄い。
- 1983年/日本/11分 16mm
- 監督:山川直人
- キャスト:室井滋、ほか
- 原作:村上春樹「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」(「カンガルー日和」所収)
- Ending Song:佐野元春「君を探している」歌詞(佐野元春official site)