2007年3月11日日曜日

チョムスキーとメディア マニュファクチャリング・コンセント


この映画、というか、このチョムスキーという人、噛み応えありすぎ。言語学の権威だとは事前に聞いていたけれど、凄い手強い。

この映画でチョムスキーは、メディアによる自己規制によってごく自然に情報の歪曲が行われている社会システムの存在、国家レベルの凶悪な具体例を、彼の調査・根拠をもってテンポ良く自信を持って私に再確認させてくれる。そして、一般の権力側でない人がやるべきこと・できることを提示してくれる。3時間という長い映画だが、それをまったく長く感じさせない。それは、いつのまにか映画を見ながら考えさせられ参加させられたからだろう。自分って、ある程度わかっているつもりだったけど、齧って自己完結しているだけじゃだめなんだ、わかっている人は行動をしなきゃ、できることからはじめなきゃ。

ということで、著作読んで、少しでも理解増やして、考えとか行動が進んだら、あらためて書き込もう。このテーマについては、簡単に書けませんわ。

映画のキャッチフレーズ
「新聞もテレビも、なぜ同じニュースばかり流すんだろう? アメリカの”良心”ノーム・チョムスキーが解き明かすメディアの仕組み」

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv36056/
  • 1992年/カナダ/167分(第1部95分・第2部72分)
  • 監督:マーク・アクバー&ピーター・ウィントニック
  • 出演:ノーム・チョムスキー
  • 公式サイト:http://www.cine.co.jp/media/
  • 映画館:渋谷 ユーロスペース

2007年2月24日土曜日

さくらん


映画のパーツパーツは、見どころが多い。特にグラフィック。さすが各業界の注目の才能がやってるだけある。しかし残念でしょうがないのは、とにかくバラバラ、散漫。映画としての完成度は最初から諦めて、とにかく個性を見せつけるんだと割り切っていたかも。けど、だとしても、脚本と編集(監督の編集能力を補佐する人?)にはプロをつけて欲しかった。原作から変なところ削ってかえってわかりにくくしてるし、逆に余計な話をくっつけて、それが日暮の良さである切れ味を甘くして終わらせてしまった。とにかく残念。

忌野清志郎が一瞬出てたけど、ファンだけど、全然嬉しくなかった。ほかにも色々出ていたみたいだけど、そういうの余計な出演者のせいで、せっかく流れている話の緊張感が途切れてしまう。どうしてそういうことするかなー。売れるためにはいろいろ仕込まなきゃってことかもしれないけど。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv36489/
  • 2007年/日本/111分
  • 監督:蜷川実花
  • 原作:安野モヨコ 音楽:椎名林檎
  • 出演 :土屋アンナ 、椎名桔平 、菅野美穂 、木村佳乃

2007年2月12日月曜日

それでもボクはやってない


ショック。無罪を出すということは、検察にも警察にたてつくこと、つまり国にたてつくことになる。昇進して偉くなろうと思っている裁判官は、効率よく裁判の数を稼ぎ、正しい裁判のためにいたづらに時間を費やすようなことをやっている人などいないのだろうか。裁判を取り巻く人々もほとんどが公務員≒サラリーマンだということを考えると、信じたくはないが、そうなっているのか。

どこかで、最後の砦として裁判所があると信じてきた。「ほんとうにやっていなかったら、きっと分かってくれるはずだ」と思っていた。はっきり言わなくても分かってくれること助けてくれることを期待していた。しかし、実際問題こうなっているのが全面的ではないにしろ、人によるのだとしても、かなり本当だとすると、私の感覚は大甘なのだと思わざるを得ない。まだ、そういう場面に遭遇しないで生きてこられたのは、とてつもなく幸運なだけだったのかと、突きつけられた心境。

こういう映画ができることで、真っ当な裁判が増えること、真っ当でない裁判=無罪が有罪にされてしまうようなことが行われないような、抑止力になってくれることを願うばかり。


  • 2007年/日本/143分
  • 監督・脚本:周防正行
  • 出演:加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、役所広司
  • オフィシャルサイト:http://www.soreboku.jp/index.html

2007年1月28日日曜日

不都合な真実 / An Inconvenient Trufh


この映画、見るべき。見て自分を反省しない人、襟を正そうと思わない人は、ほとんどいないはず。

出てくる地球温暖化に関係する事実のほとんどは、前から知っていた。

でもそれに対するとらえ方は、

北極の氷は40年間で40%縮小した。(ふーんそうかー) 南極の氷が溶けると海面が何メートルも上昇する(ふーんまー大丈夫でしょ) 森林伐採どんどんされているよね。(そうだよね困ったもんだよねー) 中国ってどんどん環境汚染してて、その大気が日本に流れてきてるんだよね(ほんと大迷惑だよね) 地球温暖化って、そもそも政治が動かなければどうにもならない大きな問題だからなー。

ぐらいだった。いつもの生活だって、ゴミは減らそうとしてるほうだし、乗っている車は小型車だし、省エネな家電にしてるし、ゴミの分別はこまめにする、、、。環境問題には敏感な方だし、エコな方だと思ってた。

でも、自分って全然ダメダメ。事実を繋げて、ゴアの素晴らしいプレゼンテーションで見せられたら、あー自分は、分かっている風なだけで、モラルのレベルは低かったんだと痛感した。突きつけられた。

それにしても、ゴア。ブッシュとの大統領選挙、僅差で負けたんだったよなー。彼が当選していたら、、、今思ってもしょうがないことだけどなー、残念。でもそこから立ち直って以降、1000回以上、自分で生の声を伝えるために講演に回っているなんて。

あと余談だけど、ゴアのプレゼンテーション技術、見て良かった。ためになった。今まで見た中で一番凄かった。

けど、エコってだんだんうさんくさいビジネス入ってきたから、ちゃんと裏も見ないと・・・鵜呑みにしちゃいけない。


  • 2007年/アメリカ/
  • 監督:デイビス・グッゲンハイム/Davis Guggenheim
  • 製作総指揮:ジェフ・スコル/Jeff Skoll 製作:ローレンス・ベンダー/Lawrence Bender ほか
  • 出演:アル・ゴア/Al Gore(元アメリカ副大統領)
  • 日本版オフィシャルサイト:http://www.futsugou.jp/
  • 英語版オフィシャルサイト:http://www.climatecrisis.net/

2007年1月21日日曜日

世界|The World


北京のテーマパークが舞台。地方出身者が夢を持って集まってくるが、現実を目の当たりにして、ひとつひとつ諦めていく人々が描かれる。きっと世界中のどこの都会でも同じなのだろう。現実に近い世界をこれでもかこれでもかと突きつけ続ける。現実から逃避できる場所として映画館に行く人も多いだろうに。これをみるとネガティブな再確認になる。

人々の夢の象徴である「世界」を、夢をテーマパーク「世界」で済ませる人。そこを仕事場とする人。都会で根無し草の不安感、行き場のない閉塞感を持って生きている人々。このぐらいいいだろう、このぐらいしょうがないだろうと、日頃誰もがやっている小さな罪を目の当たりにして懺悔させて、追い込んで、追い込んで、袋小路に追い詰めて。

でも、追い込まれた袋小路で、後ろの戸が開いて、こっちだよ、とちょっと救われる。空騒ぎな元気な姿で始まり、2時間以上の、目をそらすことのできないシーンの連続は、結局最後に救ってもらった感じ。

こういう映画は、残ってしまいます。いじめられた後に助けられたみたいで、まいった。

ふと、「あの夏、いつか静かな海」を見直したくなりました。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv34528/
  • 2004年/日本,フランス,中国/133分
  • 監督・脚本:Jia Zhang Ke 賈樟柯 ジャ・ジャンクー 撮影:Yu Lik-Wai 余力爲 ユウ・リクウァイ 音楽:Lim -Giong 林強 リン・チャン 製作:オフィス北野
  • キャスト:Zhao Tao 趙濤 チャオ・タオ(Tao)、Chen Taisheng 成泰■ チェン・タイシェン(Taisheng)
  • オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/sekai/

2007年1月14日日曜日

天空の草原のナンサ


モンゴルの遊牧民の少女が、一匹の犬と出会うことから始まる物語。

モンゴルの人々の生活をしっかり映像で見たのは初めてなのに、前から知っていたようなモンゴルの人々がスクリーンの中にいた。身近ではなかなか見ることができないような笑顔が見られた。文明というものに囲まれて欲望をかき立てられて生きている私の生活からは、絶対得られない自然な生活を見た。大仰な効果音もないし、俳優のオーバーアクションもない。素材のまんまのモンゴルの人々を丁寧に丁寧に写し取られていて、こつこつ素朴にたくましく生活している様子が、すごく自然に伝わってきた。

どうしてそんなに自然に感じたのかと考えたら、「自然を屈服させるのではなく、自然や動物と共に生きる」そんな彼らの人生観が、私も自然に思っていることだったから共感しやすかったのかなと思った。


  • 2005年/ドイツ・モンゴル/
  • 監督・脚本:ビャンバスレン・ダバーン
  • 出演:ナンサル・バットチュルーン、ウルジンドルジ・バットチュルーン、ツォーホル
  • オフィシャルサイト http://www.tenku-nansaa.com/

2007年1月13日土曜日

サトラレ


もし自分の考えていることがまわりに筒抜けになっているとしたら。この映画の設定は荒唐無稽だけれど、そのへんのことは忘れて、どんどん引き込まれた2時間。技術面は突っつく人いっぱいいると思いますけど、現実世界はもっとどろどろですが、そういうことは考える間もなく一気に見た。

終わってからは、いつもあたりまえに思ってしまっていることを、生きるスタンスみたいなものをあらためて考えた。

小さい頃は大人から「嘘をついてはいけません」と言われたのに、いつのまにか大人の世界は「小さな嘘はつくもの」「上手に生きなさい」「正直すぎると馬鹿を見るよ」そんなふうに言われる。納得いかない思いをして今に至る世渡り下手なわたしでも、それなりに社会経験を積むと、汚れたというか、それなりに、時々罪悪感持ちつつ当たり前に生きているけれど。

上手に生きていけない自分の言い訳もありますけど(泣)でも、ずるをしない、嘘をつかないというのは、どうしても基本だなと。

補足。八千草薫さん、寺尾聰さん、あと小木茂光さんの演技、よかった。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv31852/
  • 2001年/日本
  • 監督:本広克行
  • 原作:佐藤マコト
  • 出演者:安藤政信 、鈴木京香 、八千草薫 、寺尾聰 、内山理名 、小野武彦 、小木茂光

2007年1月8日月曜日

硫黄島からの手紙|Letters from Iwo Jima


アメリカ編は、知識としてあたらしい収穫はあったけれど、一本の映画としてみると、金額分の価値はなかったかなと思った。けれど、日本編も見て、アメリカ編は予習だったのだと捉え直すと、意味があったなと考え直した。アメリカ側の物語と日本側の物語の2部構成とした仕掛け側の狙いはあらかじめ想像はついていたつもりだったけれど、実際に見てみると、想像以上にあらためて感じる部分はあるもんです。2本で1本である意味はあった。

なんでもそうだけど、争いごととか犯罪とかは、とかく一方の側からしかとらえない。勧善懲悪な映画は数多いけれど、戦争映画もけっこうそういうのが多い。それが普通の戦争映画だとすると、これは戦争映画ではなかった。一本でそれを伝えようとすると、シナリオが表と裏、現在と昔をジャンプさせたりして、すごい複雑にしてしまう。それを、きちんと2本に分けることにしたので、人間関係も複雑にしないでわかりやすく伝えることが可能になったとも言えるので、それは成功したと思う。

ひっくりかえして反対側から見てみなさいと言うのは、むかし企画の勉強法で習ったことだが、それを2本通して見ることで自然に両側から見る体験ができた。

2時間半はそれほど長く感じなかったし、シートが良かったので、ゆったり思索を巡らす時間もあったし、年始に考える時間とテーマをもらえた。事件の裏と表、加害者と被害者、両方のことを想像できて人としてちゃんと判断できる人でありたい。



2007年1月7日日曜日

夏至


第1作「青いパパイヤの香り」がすごい気に入ったので期待して見たのだが、超えられてなかった。残念。

映像をファッショナブルにしたかったんだなというのはわかる。「人は2人を同時に愛せるか」というテーマだったようだが、結局いろんなケーススタディを見せただけで消化不良。きれいに着飾った好きな映像を撮りたかっただけに思える。自分の妻の美しさを映像に記録したかったんだろうなというのもよくわかる。しかし、すべて薄っぺらに感じられた。

こういうの好きな人もいると思うけど、私にはダメだった。

エンディング・テーマ曲、ベトナムの国民的な作詞・作曲家のチン・コン・ソンの曲も、美しくて切ないよい曲だった。ルー・リードの「コニー・アイランド・ベイビー」が使われてたのは個人的に○だが、この映画に使うとなると繋がりが感じられない。なんか、浅い愛だったかなー。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv31998/
  • 原題 : A la Vertical de L'ete
  • 2002年/ベトナム・フランス/112分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:Tran Anh Hung トラン・アン・ユン
  • 出演:Tran Nu Yen Khe トラン・ヌー・イェン・ケー (Lien)、Nguyen Nhu Quynh グエン・ヌ・キン (Suong)、Le Khanh レ・カイン (Khanh)

2007年1月6日土曜日

藍色夏恋|藍色大門|Blue Gate Crossing


この手の高校生ものでは、今世紀に入って一番。保存版としてDVDも購入。

チェン・ボーリン(陳柏霖)もグイ・ルンメイ(桂綸[金美])も輝いている。はやくこれを上回る作品で再見したいものだ。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv32513/
  • 原題 : 藍色大門 英題:Blue Gate Crossing
  • 2002年/台湾・フランス/84分
  • 監督:Yee Chin-yen 易智言 イー・ツーイェン
  • キャスト:Chen Bo-lin 陳柏霖 チェン・ボーリン(Zhang shihao)、Guey Lun-mei 桂綸[金美] グイ・ルンメイ(Meng Kerou)、Liang Shu-hui リャン・シューホイ(Lin Yuezhen)、Joanna Chou ジョアンナ・チョウ(Mrs. Meng)

2007年1月4日木曜日

青いパパイヤの香り|L’ODEUR DE LA PAPAYE VERTE


1951年、ベトナム戦争前の平和だったころのベトナム、サイゴンが舞台。下働きの使用人としてまだ10歳の女の子ムイが田舎からやってくる。一見平和そうに見える家庭の日常の生活シーンを、淡々と丁寧に、言葉少なに描いていく。

極めて単純明快なスカッとした映画、青春恋愛ものなどを期待する人は、もしかしたら退屈で、きっと寝てしまう。台詞は少ないし、ストーリーも変化が少ない。でも、2時間、ぜんぜん飽きなかった。言葉が少ないかわりに映像がすごく美しくて饒舌。料理、配膳、草木の水やり、床掃除、虫鳥の鳴き声、蟻、汗、雨、室内インテリア、、、そして主人公のしぐさ。とにかく繊細で細やかな描写が続く。ストーリーが速いテンポで展開していかないかわりに、観る側が細かなところまで、いちいち素材の質感までも、しっかり噛みしめる時間をもらえていたかのようだ。

この技術はどこからきているのか。ベトナムが舞台で、話される言語もベトナム語。監督もベトナム人だし、キャストもベトナム人。しかしこれはフランス映画だ。あるいはベトナム人がフランス映画を撮ったというようなものだろう。

リアルさで言えば、もっと湿気があるだろう、とか、太陽の日差しはもっと強いはずとか、最近ベトナムに行ってきたのでちょっと思った。しかしそもそもこれは、リアルを追求したドキュメンタリーではなく、リアリティに執着して作り込まれていた映画のはず。全編フランスでのスタジオ撮影だというが、だからこそ、繊細な映像の完成度、監督が執着する作り込みに執着して、本物以上に本物らしくすることができたのだろうと思う。

もちろん、フランスがこの映画を作ったのではない。監督、トラン・アン・ユンがいたからこそできた映画だ。フランスでどんな勉強をしてどんな人に影響を受けたのか、知りたくなった。勝手な想像では、、、やっぱり、フランスのヌーベルバーグの作家たち、特にルイ・マル。もしかしたら、ヒッチコック、小津安二郎あたりもあるか。(調べたら確かに小津、それに黒澤、溝口の影響もあるらしい)

それにしても、最近よく見る台湾とか中国の映画でも、映画監督はアメリカやヨーロッパ(フランス)や日本に影響を受けていて、自国のトラディショナルな良さを生かしつつ、ほかの良いところを吸収しているのを感じる。「あそこの国の映画は、、、」みたいなステレオタイプな見方は、これまでよくあったし、私にもあったけど、もうそういうのは古いな。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv16415/
  • 1993年/フランス・ベトナム/104分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督・脚本:トラン・アン・ユン Trần Anh H�ng
  • 撮影:ブノワ・ドゥローム Benoit Delhomme
  • 音楽:トン=ツァ・ティエ Ton That Tiet 
  • キャスト:トラン・ヌー・イェン・ケー Trần Nu Yen Khe (ムイ20歳)、リュ・マン・サン Lu Man San (ムイ10歳)、グエン・アン・ホア、クエン・チー・タン・トゥラ、ヴォン・ホイ
  • 受賞:カンヌ国際映画祭(カメラ・ドール)(1993)

2006年11月25日土曜日

恋愛回遊魚|起毛球了


妻がTSUTAYAで、中国語の勉強の教材に借りてきたので、何の気なしに一緒に見たんだけど思わぬ収穫(妻えらいです)

ストーリーは、台湾大学医学部卒の30歳の無職男と美少女の、都会(台北)を舞台にした、60分の恋愛もの。

その何が良かったかというと、まず、とにかく説明くさくない。見ている人にストーリーを追わせない。粋な セリフや小さなエピソードたちがとてもかわいいんですが、それを積み重ねてパズルがだんだんはまってラストに収束していく。

映像は、さすがに王家衛(ウォン・カーウァイ)の影響は感じられるけれど、随所に親日本カルチャーっぽい描写があるからかもしれないが、 彼よりもさらっとしていて、湿気があんまりない。

泣かせようとか感動させようとかがないのがかっこよい。最近だと、からからの乾いた薄いだけの絵になりがちな映画が多いけれど、16ミリフィルムを使ったざらつき感のせいもあったと思いますが、技術を意図的にちゃんと選択して使ったのでしょう。すごいリアル。送り手の商売的な意図がみえみえの映画とは対局だなーと感じました。だから良いと感じたんでしょう。

実は映画的にとても王道のちゃんとしたつくり。60分の中のシナリオと完成度はなかなかのものだと思いました。

キラキラしたハリウッド映画とかが好きな人にはオススメできませんが、屈折したインディーズ映画が好きな人だったら、見て損はない。

  • 2000年/台湾/60分
  • 監督、脚本:ウー・ミーセン
  • キャスト:チャン・ジャーホイ(ミャウミャウ)、ツァイ・ツェンリャン(ワン)
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv32641/

2006年11月21日火曜日

コーヒー&シガレッツ


去年観た映画を、今頃、日記に書いているのもどうかと思うのだが、何で?というと、、、明日11月22日は、トム・ウェイツのすごい久しぶりの新譜が発売されるのだ。『オーファンズ』(EICP-736~8 税込6,300円:オリジナル・タイトル『Orphans:Brawlers, Bawlers & Bastards』)。で、そう考えていたら、彼も出演しているこの映画を思い出して、ついつい書いておきたくなったというわけだ。

『コーヒー&シガレッツ』。

これはジム・ジャームッシュお得意の、11編からなる短編オムニバス映画だ。話の舞台は主に?カフェ(カフェっぽくないところもあったかもしれないが)。出演者たちが会話するテーブルにはコーヒーと煙草が置かれている。モノクロームの映像は対話する出演者の心模様によって明るかったり暗かったり重くなったり暗くなったり。モノクロームなのに凄い多彩だ、出演者は多彩と言うよりみんな濃い。

11編の物語ってほどのストーリーはなく、ダラダラと気まずい雰囲気が流れたりする中コーヒーを前に流れてゆく時間。気まずさをコーヒーやタバコが中和しているみたいだ。そのけだるさが何とも心地良いのが変。

そんな彼らの心情を上げたり落としたりするのに、たぶんさりげなく拍車をかけていたのが音楽だ。元々ジム・ジャームッシュという監督は、音楽の使い方が独特だが、かなり一貫しているというか頑固一徹だ、彼は。彼の選択眼にかなった曲がかかり、私はそれにかなり同期してしまっているのでそれに違和感がまるでない。ブルース、R&B、オルタナティブ、レゲエなど、様々なジャンルの音楽が使われているけれど、まあ、ファンの宿命なのでしょう。彼の意図を推し量ることはあっても、彼のセンスをあまり疑おうとしない。まーそれでよいのです。

とりわけ、私の場合、トム・ウェイツだ。何せ、ジム・ジャームッシュより年季が入っている。かれこれ20年来である。それがジム・ジャームッシュの映画で曲が使われ、何度も俳優として出演し、ますます相乗効果?でお気に入りになっていった人たち。他の出演者たちも、ぞろぞろと芋蔓式にファンになってしまっていいる。だから、、、もう今日ですね。CD発売なのです、なんと3枚組。ワクワクです。

話を映画に戻しますが、トム・ウエイツとイギー・ポップの一編は、お互い探りあうようにコーヒー飲んで、タバコを吸って。タバコを吸う口実をもっともらしく語るのがおかしかったです。掛け合い、間がカフェっぽいというか雰囲気見せて貰っているだけで、クスッとしてリラックスできる。それにしてもトム・ウエイツ、世界で一番タバコ似合うんじゃないですかね。しかし、それでも私はタバコは吸わない派ですが、吸っている絵は好きなのです。あとは「いとこ同士」、ビル・マーレイ出演の「幻覚」も楽しかった。

ということで、私的にはオススメ。当然DVDは買ってしまうくらい好きです。ファンだから甘くつけているんじゃない?、、、と思われるかも知れませんが、30歳40歳代で、渋好みの人だったら、、、たぶん、いい感じで観られるんじゃないかなと思いますよ。観終わったあとはコーヒー飲みすぎた感覚になったのを覚えてますが、それでもコーヒー飲みたくなりました。

あー今週末は、DVD見直しそう。

  • 出演:
    ロベルト・ベニーニ 「変な出会い」
    スティーヴン・ライト 「変な出会い」
    ジョイ・リー 「双子」
    サンキ・リー 「双子」
    スティーヴ・ブシェミ 「双子」
    イギー・ポップ 「カリフォルニアのどこかで」
    トム・ウェイツ 「カリフォルニアのどこかで」
    ジョー・リガーノ 「それは命取り」
    ヴィニー・ヴェラ 「それは命取り」
    ヴィニー・ヴェラ・Jr 「それは命取り」
    ルネ・フレンチ 「ルネ」
    E・J・ロドリゲス 「ルネ」
    アレックス・デスカス 「問題なし」
    イザック・ド・バンコレ 「問題なし」
    ケイト・ブランシェット 「いとこ同士」
    メグ・ホワイト 「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」
    ジャック・ホワイト 「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」
    アルフレッド・モリナ 「いとこ同士?」
    スティーヴ・クーガン 「いとこ同士?」
    GZA 「幻覚」
    RZA 「幻覚」
    ビル・マーレイ 「幻覚」
    ビル・ライス 「シャンパン」
    テイラー・ミード 「シャンパン」

2006年11月17日金曜日

Touch the Sound|タッチ・ザ・サウンド


パーカッショニストのエヴリン・グレニーは、ギタリストのフレッド・フリスと共に、新しいCDの録音でドイツのケルンにある廃墟となった大きな工場跡にやってくる。彼女は聴覚障害があり、音が聞こえにくい。体のあらゆる感覚を通して音を感じている。むしろ聞こえないからこそ、音そのものをすごく大切にする。ニューヨーク、日本、カリフォルニア、イングランド、スコットランド・・・と、私はエヴリンと一緒に、日常に潜む“音”を体験していく。街や空港や石庭や海岸でエヴリンがみつけた音、街にあふれる音をバックに、何人ものアーティストとのセッションをしていく。そんな旅に同行していく感覚を共有していたら、だんだん自分の錆び付いた聴覚が戻ってくるみたいな感覚に襲われてきた。見えなかった音が、聞こえてくる。そんな気持ちの良いリハビリのような時間。

映画館を出て、やっぱり、自分の感覚がちょっと変わっていることに驚いた。センサーのコントローラーが目覚めて解放されて動き出したみたい。軽くなったような、新鮮な感覚にびっくりした。おれってば、スイッチをオンにすれば、ちゃんと聞こえるじゃないか!

しかし、、、映画館の外、渋谷の街をしばらく歩くと、その情報の内容、見るもの聴くもの、意識的に生み出されているノイズがあまりにも多くて、限界。もうひどい。雑踏、ノイズ、非人間的な刺激音。人が穏やかに平常心で生活することを許さない、無数の、無視できない音、音、音… 映画の中でも対比として挿入されていた外国の都会の音風景よりも、悪い意味でひどいリアルな渋谷だった。

最近、ノイズキャンセリングヘッドフォンが、けっこう売れてきているようだが

それって外の騒音を遮断するってことだから、都会の環境の改善じゃなく、単に自分の外殻の強化で、冷静に考えると、あんまりうれしいことじゃない。

世の中には、「サウンドスケープ」という研究分野があるそうです。とても興味深いですね。どっちかっていうと、ヘッドフォンよりこっちの方が、がんばって欲しいですね。