中国四川省の省都・成都にあった、巨大な国営工場「420工場」が、40年余りの歴史に幕を閉じる。閉鎖されていく工場の産業遺跡のような異様な威容と、解雇されていく労働者たちが、きりっと正面を見て歴史を語っていく。皺の刻まれた顔つきが、リチャード・アベドンのポートレート写真を思わせる。
フィクションが混ざっている賈樟柯得意のドキュメンタリー手法。ずるいと思いつつも、伝えようとしていたことが、伝わりやすくなっているのは確かだろう。素人は素人の、プロにはプロの良さがあると思うが、さすがにプロだからできた演技も入っていて、ぜんぶ素人にこだわらずに適材適所に起用して、結果はよかったろうと思う。
- 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37962/
- 2008年/中国・日本/112分
- 監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
- 出演:呂麗萍(リュイ・リーピン)、陳沖(ジョアン・チェン)、趙涛(チャオ・タオ)、陳建斌(チェン・ジェンビン)
- 撮影:余力為(ユー・リクウァイ)、ワン・ユー
- 音楽:半野喜弘、林強(リン・チャン)
- 配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
- 公式サイト:http://www.bitters.co.jp/shisen/
- 2008年カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式上映作品