2009年8月9日日曜日

つみきのいえ


海の水位が上がり続けている世界。家の回りは一面海。近所はもう引っ越してしまっているが、彼はひとり水が上がるたびに、上に上に積み木のように家を重ね、妻との思い出の詰まった家に住み続けている。水面の上に出ているのは小さな家一つ分。家は細く高く積み重ねてそびえているのではなく、思い出と一緒に水面下に深く深くまで沈んでいる。限りある深い記憶と共に静かに暮らすことを選ん。切なすぎるけれど、じわりじわり同じような世界境遇が迫ってくる恐怖に、揺さぶられる。