ここまで涙が流れ、人が泣き、叫ぶ映画を初めて見たかもしれない。他人が涙を流すまでのプロセス、善人の涙の訳ををたくさん。それも伝えたいのに伝わらないもどかしさの結果表現としての涙。なんだか最近、喜怒哀楽が減って、めったなことでは涙を流していなかった自分が、涙を流せそうな気になった。これが最大の発見。
そういう意味で、自分にとって記憶に残る映画になったし、とても見る意味があった映画になった。
ブログのレビューは賛否両論のようだったが、私にはよかった。
また、シナリオ、監督の演出について。世界3カ所で展開する物語をだんだんピースがはまるように観客に理解させるというのは、チャレンジングなことだったと思う。それだけでもすでに評価に値すると思ったのだが、実際、私はぐいぐい引き込まれ、そこそこ理解力は要求されたが、ちょうどよい歯ごたえで理解できた。監督と脚本の力だと思った。
アカデミー賞監督賞もなるほど納得。
- 2006年/アメリカ/143分
- 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
- 出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子
- 公式サイト:http://babel.gyao.jp/