2009年3月14日土曜日

トキワ荘の青春


若い頃の石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄ら、多くのマンガ家たちが青春時代を過ごしたアパート“トキワ荘”。成功していく人、成功できずに去っていく人の、細かな心の機微を丁寧に追っている。主人公である寺田ノブオ氏は若い漫画たちの先輩であり彼らの兄貴的な存在で頼られていくが、同時に彼らの才能や、彼らが売れていくのと自分を比べざるを得ず、また自分が書きたい世界が、発行部数が出なければ生きていけない漫画雑誌に受け入れられなくなっていくことに必死に抵抗するが・・・。

市川監督の映画の多くはそうなのだが、過剰と思われる演出がなく、すごくドキュメンタリーっぽい。古いアパートだし大きな物音を出してよい住環境ではないが、それでも、みんなぼそぼそとしゃべる。日常生活で大声で叫んだりすることはかなり少ないように、喜怒哀楽はとても自然だ。音楽も過剰に流れない。セットなのにセットっぽく見えないように撮っている。照明も自然。廊下は暗く表情もよくみえないがそれで良いのだ。小津度75%。


2009年2月21日土曜日

チェ 39歳 別れの手紙|Che Part2: Guerrilla



  • 監督・脚本・撮影:スティーヴン・ソダーバーグ
  • 出演:ベニチオ・デル・トロ、カルロス・バルデム、デミアン・ビチル、ヨアキム・デ・アルメイダ、エルビラ・ミンゲス
  • 公式サイト http://che.gyao.jp/
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37741/

2009年2月15日日曜日

天使の眼、野獣の街|跟蹤|Eye in the Sky


東京では、渋谷のシネマライズでしかやっていないのだが、入ってちょっとビビった。座席はがらがらで観客4人! 超不安。

話は、新人女性警察官が先輩警察官の厳しい指導と厳しい事件捜査を通して成長していく話で、これだけだとどうということはない。しかし、見所は盛りだくさんで主に3つ。

1つ目は尾行を専門とする部署が舞台であること。これは珍しくて知的好奇心という点からも目のつけどころが○だ。監視と尾行をスクリーンで追うのがこんなに面白いとは。

2つ目はヤウ・ナイホイの脚本、演出が出色。最初の導入部分から引き込まれてしまうテンポとカットの素晴らしさ、ハイテンションはらはらどきどきのまま一気に見せ、しかも疲れさせないで最後まで持っていける力量は驚きだ。あ、そこで繋がるのか!あそこ伏線だったの!みたいなところが、なんともやられた~。それでいて仕掛け過多に感じさせない。しかも監督第一作。

3つ目は、主演の彼女の魅力と、助演の男2人(先輩警察官と犯罪側の陰のボスの2人)の魅力。3人とも他の作品も見たいと思った。

観客動員寂しいのは、これはもう宣伝頑張れよーとしか言いようがない。「踊る」よりも個人的に遥かに内容は上だと思う。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37758/
  • 2007年/香港/90分
  • 原題:跟蹤 英題:Eye in the Sky
  • 監督:ヤウ・ナイホイ 遊乃海
  • キャスト:サイモン・ヤム 任達華、ケイト・ツイ 徐子珊、レオン・カーフェイ 梁家輝、ラム・シュ 林雪
  • 配給元 http://www.tornadofilm.jp/lineup/archives/2008/12/post_126.html
  • Award 2007 東京フィルメックス 審査員賞特別賞 コダックVISION アワード 2008 香港電影金像奨 最優秀新人賞、最優秀新人監督賞

チェ 28歳の革命|Che Part1: The Argentin


  • 2008年/アメリカ/132分
  • 原題: Che Part1: The Argentin
  • 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
  • 出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、エルビラ・ミンゲス
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37711/

2009年2月14日土曜日

ダージリン急行|The Darjeeling Limited


 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を観てウェス・アンダーソン監督気に入っちゃったので、また観た。父の死をきっかけに仲違いしたままになっていた3兄弟が、一緒にインドの秘境を列車で旅しながら絆が修復されていく物語。またテーマは家族だ。

 ダージリン急行と聞いて、実在の「ダージリン鉄道」を思い浮かべてしまったが、実際には架空の鉄道。この辺、アメリカが舞台だったら混乱させるような名前は付けないんだろうが、舞台を知らない人がやりがちな安易なネーミングだ。ということで、、インドの特定の場所ではない架空の場所だと割り切って頭を切り替えて見る。

 ということで、自分がゆるく寛容に見はじめたら、実際に兄弟3人の行動もいいかげんでおおらかで、だから痛い目には会っているし、それで兄弟の関係も悪くなっていたというのが、物語のスタートラインだった。とてもシリアスな映画にもできるところを、そうせずに全体がちょうどいい感じにゆるい。またm舞台を長距離列車にしたのが大当たり。列車の中でもやはりいい加減な行動を3人それぞれにやっちゃうわけだが、同じ列車の中で合宿をしているみたいだから、けんかいざこざを起こしても、一服しにいって、列車からのインドの風景を見て、過去を振り返って、、、また同じ部屋で顔を会わせて。さっきはゴメンって言って。繰り返すうちに、みんながみんな自分を反省して、相手のことを思いやって。旅が終わる頃には、みんな素直にポジティブに生きていくエネルギーが貯まってくる。自分も、悪いところから希望が見えてくるところまでを、スクリーンの前から一緒に見守ってきたことになるので(部活の合宿を見守る先生みたい)、自分も旅に参加して元気をもらってしまった感じだ。

あと、面白かったのは、スーツケース、バッグの存在感。めちゃくちゃあって、これは確信犯だなーと思って調べたら、ルイ・ヴィトンのマーク・ジェイコブスによるものだった。別にルイ・ヴィトンのファンじゃないけれど、色も使われ方も、この映画のすごいアクセントになっていて、狙い当てられた。舞台の小道具もほとんど現地での手作りらしく、その絵や色もとても魅力的で好き。

そういえば、兄弟っていいもんだなーと思わせるところと、ゆるさ加減で同じなのは『間宮兄弟』か。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv36953/
  • 2007年/アメリカ/92分/13分
  • 原題:THE DARJEELING LIMITED
  • 監督:ウェス・アンダーソン
  • 脚本:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマン
  • キャスト:
  • オーウェン・ウィルソン:フランシス(長男)
  • エイドリアン・ブロディ:ピーター(次男)
  • ジェイソン・シュワルツマン:ジャック(三男)
  • アンジェリカ・ヒューストン:パトリシア(母)
  • カミーラ・ラザフォード:アリス
  • イルファン・カーン:父親
  • ビル・マーレイ:ビジネスマン
  • ナタリー・ポートマン:ジャックの彼女
  • オフィシャルサイト http://microsites2.foxinternational.com/jp/darjeeling/

2009年1月1日木曜日

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ|The Royal Tenenbaums


天才の3兄弟と独裁的な父。そして家族を繋いでいた母。ひとりで凄いことができてしまう天才の子供たちも歳を重ね挫折を経験してだんだん普通の人(というより奇人)になり、離ればなれになってしまった家族の絆を取り戻していく。そんな話。予告編では、天才の奇人ぶりの描写がぶっ飛んでいたので、映画は珍妙で危険な話だと思っていたが、違って、普通に楽しめる映画だった。監督の演出は、ごてごての過剰感は感じることもなく、ちょうどよかった。

話がちょっと似ているなと、すぐ思い出したのは『ホテル・ニューハンプシャー』(ジョン・アーヴィング原作)。若かりしジョディ・フォスター、熊の着ぐるみに入ったナスターシャ・キンスキーがお気に入りだった映画だ。話は家族の再生の物語で確かに似ている。明らかに違うのは『ホテル・ニューハンプシャー』では人がどんどん死んでいってしまうのに対して、こちらは家族の繋がりは壊れるが、死にそうでも一歩手前で踏みとどまる。結局、古い家族の接着剤だった父ロイヤルだけが落とし前をつけて、他のみんなは再生して生き生きしていく。

あたりまえのことだが、あらためて思たのは、天才だって人だし、普通に悩み苦しみはあるし、浮き沈みだってあるよな、そこは同じだなということ。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv32280/
  • 2001年/アメリカ/110分
  • 監督: ウェス・アンダーソン
  • 出演:
    Gene Hackman ジーン・ハックマン (Royal Tenenbaum)
    Anjelica Huston アンジェリカ・ヒューストン (Ethel Tenenbaum)
    Ben Stiller ベン・スティラー (Chas Tenenbaum)
    Gwyneth Paltrow グウィネス・パルトロウ (Margot Tenenbaum)
    Luke Wilson ルーク・ウィルソン (Richie Tenenbaum)
    Owen Wilson オーウェン・ウィルソン (Eli Tenenbaum)
    Bill Murray ビル・マーレイ (Raleigh St. Clair)
  • 音楽:"Hey Jude"Beatles, "Wigman"Bob Dylan, "String Quartet in F Major"Maurice Ravel, "Police And Thieves"The Clash, "Gymnopedie #1"Elik Satie, "Billy -Main Title-"Bob Dylan, "Judy IS a Punk"The Ramones. "She Smiled Sweetly"The Rolling Stones, "Stephanie Says"The Velvet Underground, "Ruby Thesday"The Rolling Stones, "Concerto per Liuto E Mandolino"Antonio ViValdi, "Look At Me"John Lennon, "Everyone"Van Morrison
  • 公式サイト http://www.movies.co.jp/royal/

2008年11月16日日曜日

会社物語|MEMORIES OF YOU


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv17858/
  • 1988年/日本/99分
  • 監督:市川準
  • プロデューサー:中沢敏明
  • 脚本:鈴木聡、市川準
  • 撮影:小野進
  • キャスト:ハナ肇(花岡始)、西山由美(由美)、植木等(上木原等)、谷啓(谷山啓)、犬塚弘(犬山弘)、安田伸(安井伸)、桜井センリ(桜田千里)、石橋エータロー (石橋二郎)、イッセー尾形(セールスマン)、伊東四朗(小林常務)
  • 1988年ブルーリボン賞主演男優賞(ハナ肇)

2008年11月8日土曜日

ハンサム★スーツ


期待通り。気楽に笑えたし心に残るところもあったし。ストーリーも演出も演技も、陳腐すぎたり高尚すぎていたら、軽く笑いたいという目的に合わなくなってしまうのだが、これがピッタリ。谷原章介の演技の幅は、あらためてだけどスゴい。ただものじゃない。塚地も『間宮兄弟』でも思ったが、いい味だしているし好かれるキャラ。音楽も80~90年代のヒット曲が随所に使われていて。


  • 監督:英勉
  • 脚本:鈴木おさむ
  • 出演:谷原章介、塚地武雅、北川景子、佐田真由美、大島美幸(森三中)、池内博之、本上まなみ、佐々木希、ブラザートム、温水洋一、中条きよし、伊武雅刀
  • テーマソング:渡辺美里「My Revolution」
  • オフィシャルサイト http://www.handsome-suits.com/
  • 2008年/日本/

2008年11月2日日曜日

Orz ボーイズ!|Orz Boyz!

 

  • 原題:囧男孩 英題:Orz Boyz!
  • 2008年/台湾/104分
  • 監督・脚本:楊雅竽(ヤン・ヤーチェ)
  • 出演:李冠毅 リー・グァンイー (騙子一號:うそつき1号)、潘親御 パン・チンユー (騙子二號:うそつき2号)、梅芳(メイ・ファン)、馬志翔(マ・ジーシャン)、徐啟文(シュウ・チーウェン)
  • The 9th NHK ASIAN FILM FESTIVAL 第9回 NHK アジア・フィルム・フェスティバル

2008年11月1日土曜日

東京兄妹


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv27749/
  • 1995年/日本/92分
  • 監督:市川準
  • 助監督:吉川威史
  • キャスト(役名):緒形直人 オガタナオト(日暮健一)、粟田麗 アワタウララ(日暮洋子)、手塚とおる テヅカトオル(三村真)、白川和子 シラカワカズコ(近所のおばさん)、広岡由里子 ヒロオカユリコ(林桂子)

2008年10月26日日曜日

エドワード・ヤンの恋愛時代|獨立時代|A Confucian Confusion


  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv16757/
  • 原題:獨立時代、 英語題:A Confucian Confusion
  • 1994年/台湾/127分
  • 監督・脚本:楊徳昌(エドワード・ヤン)
  • 出演:
  • チチ(蒞蒞):陳湘蒞(チェン・シャンチー)
  • モーリー:倪淑君(ニー・シューチン)
  • ミン(明):王維明(ワン・ウェイミン)
  • アキン(阿欽):王柏森(ワン・ポーセン)
  • フォン(小鳳):李芹(リチー・リー)

2008年10月20日月曜日

陽もまた昇る|太陽照常升起


見始めてしばらく経ったところで、気がふれた映画かと思って、やれやれと思っていたけど・・・何とも凄い芸術的な映画。ただのアートではなく見事に最後に収束させる計算もされていた。こんな映画、こんな監督とは思ってなかったので、嬉しい発見。パワーと刺激ありすぎ。最近、落ち着いたものに好みが傾いていたけれど、もっと刺激になるものも見よう。

  • 2007年/中国,香港/116分
  • 監督: 姜文(チャン・ウェン)
  • 出演:姜文、陳沖(ジョアン・チェン)、周韻(ジョウ・ユン)、房祖名、黄秋生(アンソニー・ウォン)、孔維(コン・ウエイ/孔鐿珊)
  • 撮影:李屏寶(マーク・リー・ピンビン)ほか
  • あらすじはコチラ
  • 音楽:久石譲
  • 参考:スタッフブログ
  • 原作:「天鵝絨」葉彌著
  • 公式サイト:http://thesunalsorises.emp.hk/
  • 第21回 東京国際映画祭 アジアの風 部門

buy a suit(スーツを買う)


撮影は、市川監督と助監督がHDVカメラを使ったという。キャストは監督の気心が知れた俳優素人。キャストが入った撮影は2日間。まさに市川監督のプライベートフィルム。『東京夜曲』『東京兄弟』など、東京の風景をたくさん撮ってきた人らしく、最後も東京の今を、ドキュメンタリーっぽくきれいに撮っていた。すーっと染み込んで来るような、まさに遺言のようだった。

映画館に入るときに手紙サイズのリーフレットをもらった。
自宅に遺されていたメモをそのまま使ったもの。監督から手紙のような、穏やかだがしっかりとしたメッセージだ。


ご冥福をお祈りします。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv37950/
  • 2008年/日本/47分
  • 監督、脚本:市川 準 助監督:末永智也
  • 出演:砂原由起子、鯖吉、山崎隆明 三枝桃子 松村寿美子 佐藤慎一
  • 第21回 東京国際映画祭 日本映画・ある視点 公式出品


2008年10月1日水曜日

Bass on Titles|Why Man Creaters


グラフィックデザイナーなら、誰でも知っていて欲しいソール・バス氏。すでに、数多くの日本企業のロゴのデザインで、ミノルタ、紀文、旧味の素、ミナミスポーツなどをやっていたことは知っていた。しかし、一方で映画のタイトルバックをたくさんやっていてそれが凄いらしいということは昔から聞いていたのだが、なかなか見られないままになっていた。それをまとめた作品集『Bass on Titles』とドキュメンタリー『Why Man Creaters』が一緒にDVDで出たので、さっそく購入。

たのしい!

映画本編じゃなくこれだけ観ていて、すごいたのしい。しかし、日本映画で優れたタイトルバックがなかなかないのは寂しい限り。劇場で映画を見に行っても、本編前の宣伝用予告編から、いつのまにか映画本編に入ってしまっていた、という寂しい入り方が結構あって。

あと残念なのは、ヒッチコック作品の『サイコ』『めまい』『北北西に進路をとれ』が入っていないこと。これは別で見るしかない。

  • 「ソール・バスの映画タイトル集」 1977年 32分
  • 収録作品:
    「ウエスト・サイド物語」(61)、「グラン・プリ」(66)、「黄金の腕」(55)、「セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進」(66)、「危険な道」(65)、「おかしなおかしなおかしな世界」(63)、 「大いなる西部」(58)、「勝利者」(63)、「暗殺5時12分」(63)、「荒野を歩け」(61)
  • 「なぜ人間は創造するのか」 1968年 29分
  • 1968年度アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞