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2007年8月23日木曜日

モン族の少女 パオの物語 / Chuyen Cua Pao / THE STORY OF PAO


ベトナム北部のモン族の少女パオと2人の母の実話をもとにした物語。去年ベトナム北部のサパに旅行に行ったので、その近辺に暮らす少数民族を題材にした映画だというので興味があり、事前知識は特になく観に行った。素朴な映画を勝手に想像していたが、逆にすごくモダン。人の描き方も単純明快ではなく深い。シナリオも後半は驚きの連続。観といてよかった。

映画の善し悪しには関係ないけれど、トラン・アン・ユン監督のテイストに似ているなーと思ったら、後で監督は『夏至』や『青いパパイヤの香り』のキャストだったと知り、なるほど。おまけに、彼の妻がパオ役の女優だと知り、ベトナムの監督ってみんな?、、、と2度びっくり。


  • 2006年/ベトナム/97分
  • 監督・脚本:ゴー・クアン・ハーイ
  • 原作:ドー・ビック・トゥイ(短編小説「石垣越しのモン笛の音」)
  • 撮影:コーデリア・ベレスフォード、音楽:グエン・ティエン・ダオ
  • キャスト:パオ:ドー・ティ・ハーイ・イエン、キア(育ての母):グエン・ニュー・クイン、シム(産みの母):ドー・ホア・トゥイ、チュー:チャン・ドアン・チュアン
  • オフィシャルサイト http://www.imageforum.co.jp/pao/


2007年5月19日土曜日

シクロ|CYCLO


アジアの映画を見ると、行きたくなるような作りをしている観光案内映画は数多いけれど、この映画は毒が強いので、私は行きたくなるが、行きたくない人も出てくるだろう。貧困、汗、暴力などの現代ホーチミンの裏の毒だ。

場面は10数年前のベトナムホーチミン。豪華な高層ホテルが建ち始める一方でその隣にはスラム街が広がる。主人公は、シクロと呼ばれる輪タクの運転手として働く青年(レ・ヴァン・ロック)。シクロを盗まれたのを期に、犯罪に加担せざるを得なくなり、徐々に精神が壊れていく。1作目「青いパパイアの香り」で、静かでみずみずしいベトナムの美しさを描いたトラン・アン・ユン監督が、一転してどろどろしたテーマを描いている。

毒がない花は退屈とも言えるし、ひっかかりがなくスムーズな造形は面白くないので、これは私的には、あり。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv29692/
  • 1990年/フランス、香港、ベトナム/128分
  • 監督:Tran Anh Hung トラン・アン・ユン
  • 音楽:Ton That Tiet トン=ツァ・ティエ
  • キャスト:Le Van Loc レ・ヴァン・ロック、Tony Leung 梁朝偉 トニー・レオン、Tran Nu Yen Khe トラン・ヌー・イェン・ケー、Nguyen Nhu Quynh グエン・ヌ・キン
  • 第52回(95年度)ヴェネチア国際映画祭グランプリ



2007年1月7日日曜日

夏至


第1作「青いパパイヤの香り」がすごい気に入ったので期待して見たのだが、超えられてなかった。残念。

映像をファッショナブルにしたかったんだなというのはわかる。「人は2人を同時に愛せるか」というテーマだったようだが、結局いろんなケーススタディを見せただけで消化不良。きれいに着飾った好きな映像を撮りたかっただけに思える。自分の妻の美しさを映像に記録したかったんだろうなというのもよくわかる。しかし、すべて薄っぺらに感じられた。

こういうの好きな人もいると思うけど、私にはダメだった。

エンディング・テーマ曲、ベトナムの国民的な作詞・作曲家のチン・コン・ソンの曲も、美しくて切ないよい曲だった。ルー・リードの「コニー・アイランド・ベイビー」が使われてたのは個人的に○だが、この映画に使うとなると繋がりが感じられない。なんか、浅い愛だったかなー。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv31998/
  • 原題 : A la Vertical de L'ete
  • 2002年/ベトナム・フランス/112分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督:Tran Anh Hung トラン・アン・ユン
  • 出演:Tran Nu Yen Khe トラン・ヌー・イェン・ケー (Lien)、Nguyen Nhu Quynh グエン・ヌ・キン (Suong)、Le Khanh レ・カイン (Khanh)

2007年1月4日木曜日

青いパパイヤの香り|L’ODEUR DE LA PAPAYE VERTE


1951年、ベトナム戦争前の平和だったころのベトナム、サイゴンが舞台。下働きの使用人としてまだ10歳の女の子ムイが田舎からやってくる。一見平和そうに見える家庭の日常の生活シーンを、淡々と丁寧に、言葉少なに描いていく。

極めて単純明快なスカッとした映画、青春恋愛ものなどを期待する人は、もしかしたら退屈で、きっと寝てしまう。台詞は少ないし、ストーリーも変化が少ない。でも、2時間、ぜんぜん飽きなかった。言葉が少ないかわりに映像がすごく美しくて饒舌。料理、配膳、草木の水やり、床掃除、虫鳥の鳴き声、蟻、汗、雨、室内インテリア、、、そして主人公のしぐさ。とにかく繊細で細やかな描写が続く。ストーリーが速いテンポで展開していかないかわりに、観る側が細かなところまで、いちいち素材の質感までも、しっかり噛みしめる時間をもらえていたかのようだ。

この技術はどこからきているのか。ベトナムが舞台で、話される言語もベトナム語。監督もベトナム人だし、キャストもベトナム人。しかしこれはフランス映画だ。あるいはベトナム人がフランス映画を撮ったというようなものだろう。

リアルさで言えば、もっと湿気があるだろう、とか、太陽の日差しはもっと強いはずとか、最近ベトナムに行ってきたのでちょっと思った。しかしそもそもこれは、リアルを追求したドキュメンタリーではなく、リアリティに執着して作り込まれていた映画のはず。全編フランスでのスタジオ撮影だというが、だからこそ、繊細な映像の完成度、監督が執着する作り込みに執着して、本物以上に本物らしくすることができたのだろうと思う。

もちろん、フランスがこの映画を作ったのではない。監督、トラン・アン・ユンがいたからこそできた映画だ。フランスでどんな勉強をしてどんな人に影響を受けたのか、知りたくなった。勝手な想像では、、、やっぱり、フランスのヌーベルバーグの作家たち、特にルイ・マル。もしかしたら、ヒッチコック、小津安二郎あたりもあるか。(調べたら確かに小津、それに黒澤、溝口の影響もあるらしい)

それにしても、最近よく見る台湾とか中国の映画でも、映画監督はアメリカやヨーロッパ(フランス)や日本に影響を受けていて、自国のトラディショナルな良さを生かしつつ、ほかの良いところを吸収しているのを感じる。「あそこの国の映画は、、、」みたいなステレオタイプな見方は、これまでよくあったし、私にもあったけど、もうそういうのは古いな。

  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv16415/
  • 1993年/フランス・ベトナム/104分
  • あらすじ - goo 映画
  • 監督・脚本:トラン・アン・ユン Trần Anh H�ng
  • 撮影:ブノワ・ドゥローム Benoit Delhomme
  • 音楽:トン=ツァ・ティエ Ton That Tiet 
  • キャスト:トラン・ヌー・イェン・ケー Trần Nu Yen Khe (ムイ20歳)、リュ・マン・サン Lu Man San (ムイ10歳)、グエン・アン・ホア、クエン・チー・タン・トゥラ、ヴォン・ホイ
  • 受賞:カンヌ国際映画祭(カメラ・ドール)(1993)