2008年5月18日日曜日

太陽


ポツダム宣言受諾から人間宣言、マッカーサーとの対面まで、昭和天皇の孤独と苦悩を描く、という意図のようだが、見て感じたのは複雑。戦犯としては見られないし、自分の遠いルーツとして思うと笑えないし、単純にかわいそうとも思えない。見ていて笑っていいのか笑ってはいけないのか、また笑ったら日本人である自分のことも笑うことになってしまわないか、など、いちいち戸惑う。

しかし全体としては、単純な外国人には滑稽に見ていたかもしれない天皇の姿も、彩度を落として、緊張感のあるBGM、ゆっくりした画面展開で、品位を保つことによって、喜劇役者とは全く違うのだという答えにはなっていたと思う。イッセイ尾形の演技も、ものまねとしてではなくリアリティとしてレベルの高い演技だった。思い起こすと初めて彼を見たのは、もう20年以上も前の新宿紀伊国屋ホール「都市生活カタログ」。そのころすでに得意技だった観察力と表現力をここまで昇華させてきたのは、凄いとしかいいようがない。「ヤンヤン 夏の想い出(台湾)」もよいし「トニー滝谷」も。彼には外れがない。


  • 2005年/ロシア・伊・仏・スイス/115分
  • 監督:アレクサンドル・ソクーロフ
  • 出演:イッセー尾形 / ロバート・ドーソン / 佐野史郎 / 桃井かおり / 田村泰二郎
  • イッセイ尾形オフィシャルサイト http://www.issey-ogata.net/
  • 作品情報 http://movie.walkerplus.com/mv35627/

2008年5月17日土曜日

風の前奏曲


19世紀から20世紀に生きた実在のラナート奏者の成長物語。他の奏者との演奏バトルもあり、幸せな音色、荒い音色など、いろいろなラナートの音色が堪能できて、耳に心地よかった。木琴の音色って温かかったなー。19世紀のタイの宮廷文化や人の振る舞い、民度の高さ深みにとても親近感を持った。日本と似ているかも。

侵略国が言語を支配するのと同時に文化も支配するのはよくあることだけれど、タイの1930年代の戦時下に、独立を保つために日本に学んだ近代化政策のひとつとして、自国民が伝統を潰そうとしたなんて、ほんと危なかったんだな。今残っていて良かった。

タイでは大ヒットしたらしいが、グローバル化経済危機などで、タイ人の心のよりどころの危機があった時期に、これがタイの伝統やアイデンティティの確認になったんだとか。

タイ、もう5年くらい行ってない。また行きたいー。


  • 2004年/タイ/105分
  • 監督: イッティスーントーン・ウィチャイラック
  • 出演: アヌチット・サパンポン / アドゥン・ドゥンヤラット / アラティー・タンマハープラーン / ナロンリット・トーサガー / ポンパット・ワチラバンジョン / プワリット・プンプアン
  • 作品情報 http://movie.walkerplus.com/mv34576/

2008年5月6日火曜日

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


もやもやしていた気分をすっきりしたいときに見たんだけど、、、
意地悪、自分中心、勘違い、いじめ、暴力。ブラックというかダークな方向の人間部分を刺激されてしまって、逆効果。

しかし、永作博美はサイコー。痛々しい役も、のびのびした役も。サトエリは素でやっていて限界を感じてしまうが、彼女は役を自分で作っている。まだまだ大きくなる。


  • 2007年/日本/112分
  • 監督・脚本:吉田大八
  • 原作:本谷有希子
  • 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏
  • 主題歌:チャットモンチー「世界が終わる夜に」
  • オフィシャルサイト http://www.funuke.com/

2008年5月5日月曜日

花様年華


先月、ウォン・カーウァイの『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を見て期待をはずしてしまったので、こんなはずはない!と、遡って見た。

1960年代の香港が舞台。チャウ(トニー・レオン)とチャン(マギー・チャン)が、お互いの相手が不倫していることを知って気持ちが揺らぎ、今度は不倫されている2人が惹かれ合って行く。2人のうまさはもちろん、狭い階段、光と陰、雨を効果的に使った画面構成が、緊張感があって美しい。

それにしても、チャウの小説を書くために借りた部屋の番号が『2046』。しこんで遊んでるな。

食事のシーンが多くて、おいしそうに食べるもんだから、無性に鼎泰豊の小龍包が食べたくなった。


  • 2000年/香港/98分
  • 監督,脚本:Wong Ka wai 王家衛 ウォン・カーウァイ
  • 撮影:Christopher Doyle 杜可風 クリストファー・ドイル 、Lee Ping bin 李屏賓 リー・ピンビン
  • 音楽:Micheal Galasso マイケル・ガラッソ
  • 出演:Tony Leung 梁朝偉 トニー・レオン (Chow) 、Maggie Cheung 張曼玉 マギー・チャン (Mrs. Chan) 、Rebecca Pan 藩迪華 レベッカ・パン (Mrs. Suen) 、Lai Chen 雷震 ライ・チン (Mr.Ho)


2008年5月4日日曜日

花蓮の夏|盛夏光年|ETERNAL SUMMER


すごい痛々しい、けど(だから)美しい。

監督は若さ純粋さを失う前に映画にしたかったらしい。確かにそうだろう。世間の不純物を体に取り込んでしまったら、もう撮れない。映像にできてよかったと思う。

この映画から感じることができる自分はまだいるけれど、ずいぶん遠くにきてしまった気がする。かなり距離を感じるけれど、わからないではなく、距離を感じるだけだから、まだまだ若いかな。



  • 2006年/台湾/95分
  • 原題:盛夏光年 ETERNAL SUMMER
  • 出演:ブライアン・チャン、ジョセフ・チャン、ケイト・ヤン
  • 監督:レスト・チェン Leste CHEN 陳正道   
  • 製作:Leste CHEN 陳正道、Patrick Mao Huang 黄茂昌
  • 脚本:Cheng Ping Hsu 許正平
  • 撮影監督:Charlie LAM 林志堅
  • 主題歌:アシン(阿信)from Mayday(五月天)『盛夏光年』(ロックレコード)
  • オフィシャルサイト http://www.karen-natsu.com/
  • 花蓮旅日誌 http://www.hl-net.com.tw/blog/index.php?pl=71 ※ロケ地情報など


2008年4月14日月曜日

マイ・ブルーベリー・ナイツ


ノラ・ジョーンズの映画初主演、ウォン・カーウァイの初英語作品、ナタリー・ポートマンも出演。このへんを期待して見に行った。見て分かったことでは、音楽にライ・クーダーか関わっている曲がたくさん出て(悪いことじゃない)、ストーリーはいかにものアメリカのロードムービー。出演者は豪華だがそれ以外に予算を余り使わない低予算映画的。基本的に嫌いじゃないことなのだが、それ以上ではなかった。

どこかで見たことがある気がしてしまうロケーション。音楽の使い方も昔見たあれっぽいとか。パンフレットを読むと、ロケ地選定のためにアメリカを3回横断したらしいので、楽して撮ったわけではなかったんだなということはわかるが、意外性がないんですね。そこは外国人が日本で映画を撮るとき、日本人が意外に思うロケーションがあんまり無いのと一緒で、監督の知識不足から来るであろう限界を感じた。ストーリーも複雑じゃなく深く考えさせないPV的。


  • 2008年/仏・香港/95分
  • 監督・製作・原案・脚本:王家衛 ウォン・カーウァイ Wong Kar Wai
  • 出演:ノラ・ジョーンズ Norah Jones、ジュード・ロウ Jude Law、デイヴィッド・ストラザーン David Strathairn、レイチェル・ワイズ Rachel Weisz、ナタリー・ポートマン Natalie Portman
  • 音楽:ライ・クーダー Ry Cooder
  • オフィシャルサイト http://blueberry-movie.com/


2008年4月13日日曜日

蛇イチゴ


金魚掃除当番をさぼった男の子。母親が病気だったからと言う。つみきみほ演じる教師役のノリコは、限りなく嘘つき扱いをするが、被害をうけてひとりで掃除をしなければならなかった女の子は、わからないという。本当に病気だったのかもと。

かなり嘘つきの兄、嘘を許せない妹。兄は嘘つきだという決めつけで、兄が家の窮地を救おうとしているのか、騙そうとしているのかも、悪意の方に決めつけてしまう。しかし、最後に、、、。

しかし、監督の年齢を知らずに見たけれど、27~28歳の時にこの脚本が書けるとは。すごいな。

食べられそうな見た目をしているくせに実は食べられない蛇イチゴも、嘘をつかないこともある。決めつけてしまうのはよくないな。


  • 2003年/日/108分
  • 監督:西川美和
  • プロデューサー:是枝裕和
  • 脚本:西川美和
  • 出演:宮迫博之(明智周治)、つみきみほ(明智倫子)、大谷直子(明智章子)、平泉成 ヒライズミセイ(明智芳?)


2008年4月12日土曜日

舞妓 Haaaan!!!


薦められていたので見てみた。脚本、主演がもともと好きなので見る前からノリ想像できていたが、やっぱりさすが。一気に楽しく見させて貰えました。わきの堤、柴咲、伊東もよく、完成度も高い。京都以外の人も外国の人にも、ドキュメンタリーではなくエンタテイメントとして見て欲しいものですね。台北では既に公開されているらしく、もっと広がるとよい。

最近、★が甘い。★★☆が多い。そもそも闇雲に観る時間はないので、薦められたり注目している人つながりで見ているので、大ハズレは無いようにしているわけだが、年寄りの省エネ型の選択が自分で気に入らない。もっと闇雲に見て、当たり外れに一喜一憂できるよにできないものか、、、宿題だ。
  • 2007年/日本/120分
  • 監督:水田伸生
  • 脚本:宮藤官九郎
  • 出演:鬼塚公彦:阿部サダヲ、内藤貴一郎:堤真一、大沢富士子:柴咲コウ、駒子:小出早織、社長・鈴木大海:伊東四朗、先崎部長:生瀬勝久、さつき:吉行和子、こまつ:真矢みき
    医師:北村一輝、修学旅行生:山田孝之
  • 詳細 http://movie.walkerplus.com/mv36623/

2008年3月23日日曜日

運命じゃない人


もうけた。何の気なしに、スカパー!でやっていたので観たら、かなり面白かった。監督の演出、脚本が新しくて面白い。斬新とまで言って良いのか、映画の観る本数が少ないので過去にこういうのがあったかどうかはわからないが、少なくともおれには初めて。登場人物たちのばらばらにされた時間がだんだん編み込まれていってそういうことになっていたのか、あの場面は・・・と解る推理小説風な演出が絶妙。

有名俳優も出ていないので、逆に映画作品そのものの質と、これで売り出したい監督と俳優の気持ちの入った演技がひしひしきて、自主映画観ている感じが懐かし。


  • 2004年/日/98分
  • 監督:内田けんじ
  • 出演:中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏
  • ぴあフィルムフェスティバル 第14回PFFスカラシップ作品
  • オフィシャルサイト http://www.pia.co.jp/pff/unmei/
  • 2005年カンヌ国際映画祭 批評家週間正式出品作品


2008年3月22日土曜日

HERO


普通にドラマの続編としてと楽しめた。ただし観たのはDVDで。映画館に行っていたら、不満だったろうな。撮り方はまったくもってドラマのままで、映画にはなっていなかったし。。

  • 2007年/日本/130分
  • 監督:鈴木雅之
  • 脚本:福田靖
  • 出演:木村拓哉、松たか子、大塚寧々、阿部寛、勝村政信、小日向文世、八嶋智人、角野卓造、児玉清、松本幸四郎、イ・ビョンホン、国仲涼子、森田一義、中井貴一、綾瀬はるか、 香川照之、岸部一徳


2008年3月15日土曜日

ハチミツとクローバー


蒼井優つながりで見てみた。いやいや彼女は器用だ。本人は依頼が来たときに自分じゃないほうがよいのに・・・と思ったらしいが、マイナスのスタートからでもここまでなりきってできるというのは、さすが女優です。

しかし映画としてみると、心情をそのままナレーションにしてしまう安易な演出を多用している映画はだいたい嫌いなのだが、これもそのタイプ。思考停止、想像力停止させられてしまって、楽すぎて面白くない。私の勝手なノスタルジーだが、少なくとも映画だったらそれはやってほしくない。ストーリー・設定が悪いとは思わないし、役者も個性派揃いでおもしろいので、結局監督の演出哲学しだいか。

大学生の青春モノはいろいろ見てきたけど、これは!と思うものに出会った記憶が、なぜかあんまりない。下だと高校生や中学生の方がよくて、上はもっと大人のほうがよいものに出会っている。私含めて日本の大学生が間の年代で宙ぶらりんで浅くて甘くて緊張感がないからなのか、そう思いたくはないのだが。


  • 2006年/日本/116分
  • 監督:高田雅博
  • 脚本:河原雅彦、高田雅博
  • 原作:羽海野チカ「ハチミツとクローバー」
  • 出演:櫻井翔(竹本祐太)、蒼井優(花本はぐみ)、伊勢谷友介(森田忍)、加瀬亮(真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人(花本修司)、西田尚美(原田理花)
  • 主題歌:スピッツ 魔法のコトバ
  • オフィシャルサイト http://www.hachikuro.jp/


2008年3月9日日曜日

フラガール


俳優さんたちに、拍手だ! これは、すばらしい。


  • 2006年/日本/120分
  • 監督:李相日
  • 脚本:羽原大介
  • 企画・プロデュース:石原仁美
  • 出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子
  • 音楽:ジェイク・シマブクロ
  • オフィシャルサイト  http://www.hula-girl.jp/index2.html


2008年3月8日土曜日

東京フレンズ #1-5,THE MOVIE


最初に思い描いた素直な夢を忘れるんじゃないよ。そんなとても基本的なこと、思い出させてくれるドラマだった。そういう意味ではタイムリーで良かったけどね。でもね。「やりたいことを押し殺すなんてサラリーマンだ」とかサラリーマン否定的メッセージを発してたのは余計。

このドラマとかDVDとかのプロモーションは、ビジネスなのはわかっているけれど、商売しすぎ。共感できてないけど仕事だから、、、という人多いんだろうな。とりわけ、THE MOVIEは中身が単品の映画として見るに堪えない。NANAの二匹目のどじょうを狙っていることがみえみえで、商売っ気が鼻につく。ビデオだけで終わっていた方がまだよかった。偉そうなことは言わぬが花。


  • 2006年/日本/116分
  • 監督:永山耕三
  • 脚本:衛藤凛
  • 出演:大塚愛、松本莉緒、瑛太、真木よう子、小林麻央、平岡祐太、伊藤高史、佐藤隆太、中村俊太
  • オフィシャルサイト http://tokyofriends.jp/index.html

2008年3月5日水曜日

キャシャーン|CASSHERN


世界観の作り込みと、唐沢寿明と宮迫博之の演技には感心したけど。

  • 2004年/日本/141分
  • 監督・脚本・撮影・編集:紀里谷和明
  • 出演:伊勢谷友介、麻生久美子、唐沢寿明、寺尾聰、樋口可南子、小日向文世、宮迫博之、佐田真由美、西島秀俊、大滝秀治
  • 主題歌:宇多田ヒカル